ぽぴれあの大学入試数学解説ブログ

2014年度東大数学113点のぽぴれあちゃんが受験数学を解いてイキるためのブログです

1993年度 東大後期数学 やってみた

さてさていつから無理ゲーになってくるのか楽しみです。

第1問 難易度:C***

かかった時間:13分40秒

行列かよ。
1次変換によって、線分は線分に移り、端点は端点に移ることが知られています。当時の高校の教科書にそこまで書いてあったかが怪しいので簡単に説明すると、まず1次変換は線形変換なので (これくらいは既知にしていいはず…) 、変換fによって

となるため、線分に移ってるし端点は端点に移ってるねということです。
(f(a↑)もf(b↑)もベクトルなので)

で、Pの像がPに完全に重なるということは、頂点を(1,0)から数えてP0、P1、…、PnとするとまずP0がPkに移ることが必要です。
これだと条件を絞り切れないのでもう一つ。P1はP(k+1)かP(k-1)に移ります。線分は線分に移るわけですから、隣の頂点は隣に来ないとおかしいということです。

この必要条件を式にするとこうなる。

加法定理からa,b,c,dは全て確定して、表現行列 (a,b,c,dの組みたいなもの) は

の形で表されることが必要ということがわかります。
これは回転移動と対称移動を表しており、直感と一致します。
十分性は、すべての辺が元の正n角形の辺と1v1対応すればいいわけですから、任意のmについてPmとP(m+1)を動かしてみて、重複なく隣同士の頂点に動けばOK。

(2)
直感的に零行列になりますが、つまり以下の2つの式がともに0であることを示せばよい。


今の高校生ならこれらは全てz^n-1=0の解で、因数分解すると総和が出てくるというので瞬殺できるんだろうか。

複素数平面ってのを知らなかった頃の僕 (18歳時点) だと、こういうのは例えば上の式にsin(2π/n)を掛けて、積和公式でバラすと下の式になる。同様に下の式にsin(2π/n)を掛けてバラすと上の式になる。で、sin(2π/n)≠0だからつまり両方の式が0であるはずだねという感じで示していた。正直こっちは解法暗記感ある。

しかし行列と複素数平面を両方知ってる18歳ってどんだけいるんだよっていうね。






第2問 難易度:C****

かかった時間:42分35秒

(1)
与えられた直線が斜め向いているとやりづらくして仕方がありません。
というわけで、与えられた直線を軸とするXY座標系を新しく作りましょう。
そんなことを勝手にしていいのですか??? というツッコミが入りそうですが、別にいいんです。図形全体を回転させただけなので。
ただ、当然A,B,Cの座標もすべて変わるので新たにA(X1、Y1)、B(X2、Y2)、C(X3、Y3)とでも置きましょう。

このとき、与えられた直線に平行な直線というのはY=kと表せます。
そしてf(l)=(Y1-k)^2+(Y2-k)^2+(Y3-k)^2ですから、適当に平方完成でもしてやればこれを最小にするk=(Y1+Y2+Y3)/3がわかります。
これはもちろん重心を通ります。

(2)
f(l)のminが重心を通ることが分かったので、逆に重心を通る直線をぐるぐる回転させて、傾きに関する解が3つ存在することを示せばよいです。

ぐるぐる回すということはXY座標系のメリットがなくなったため、xy座標系に戻してやります。
いちいちΣ/3とか書いてられないので重心をG(p,q)として、x1+x2+x3=3p、y1+y2+y3=3q。
Gを通る直線はy-q=m(x-p)とおけます。このmが相異なる3解を持てばよろしい。 (y軸平行はまた個別に考える)

点と直線の距離公式から、f(l)は

嫌すぎ。

ものすごいことになったので方針変更。重心が原点に来るように平行移動して、あらゆる項を消し去ることを目論みます。え? 普通の人は最初からそうする? そうねぇ…。

ついでに直線が動き回るのが気に食わないので、直線をx軸に固定して、三角形を回転させることにしましょう。

すなわち三角形ABCを回転させた後の頂点は、

となり、直線lをx軸で固定したらf(l)というのはy座標の2乗の和だから…

こうなる。これが相異なる3つのθ (0≦θ<2π) で最小値を取ればよいということになる。

ここまではすぐに辿り着けたが、ここからが苦労した。式を眺めると何とかなりそうな気がするが、なんともならない。
10分ほど考えてようやく、半角公式と倍角公式で2θに揃い、合成すると合成部分の係数が0でないと解が高々1つであることに気付いたため、それで強引に条件が出ることに気付いた。

何言ってるか分からんぞという人のために詳しく書くと

要は半角公式と倍角公式でこうなるわけ。
つまり、角が2θで揃ったのでこれを合成してやると…

このようにsinに対する1次式となり、もし√(a^2+b^2)≠0であるなら、sin(2θ+α)=-1のときのみ最小値を取るはずだが、そのようなθは1つしか存在しないはずである。
ということは√(a^2+b^2)=0すなわちa=b=0が必要であり、このとき次の2条件が生まれる。

よっしゃ! きた! 勝ち!

…と思いきやここでまたしても10分ほど詰まる。これが正三角形であることを示すための道筋が見つからない。そういえば重心が原点だったのでΣxk=Σyk=0だったなということで1文字削除しようと試みるも、余計形が複雑になって終了。

式を眺めていても埒が明かないので、もしかして方針をミスったか? と思い、座標を置くところからやり直そうと思った (1辺を固定して直線をぐるぐるする方針でやり直そうとした。でもy軸平行がめんどくさいんだよな…) が、ここで逆転の発想が浮かぶ。

これ、そもそもf(θ)が一定ってことだから必要性から絞れね…?

一定ということは、上の3図において距離の2乗和が全て同じであるということを言っている。 (※頂点と重心を通る点が対辺の中点を通るのは重心の定義そのもの)
ということは3辺の長さが等しくないとおかしい。ならば正三角形だ。

というわけで、ずっと変な式を眺めていたが、値が一定であることが出た時点でもう話が終わっていたのだった。これは盲点だったなァ…。





第3問 難易度:(1) C*** (2) D****

かかった時間:28分37秒

(1)
円が放物線に接するというのがテーマ。
とりあえず次の2パターンがあるというのは想像に難くないと思う。

球が地面に着くパターンと、途中でつっかえるパターン。
僕は恥ずかしながら不勉強で、曲率とかそういうのはよくわからないので、これの境界を直ちに求めることはできないが、まあ計算してればなんとかなるんでしょう。

だが、しかし今回考えられるパターンはこの2つだけではなく、第3のパターンがある。

ネタみたいな絵だが、これを忘れてはいけない。球がデカすぎて容器にそもそも入らないパターンがある
これは(ii)の場合の接点がx=±2に達したところが境界となるであろうことは容易に想像がつく。

今回は最終的に、もとの水面の高さ (=4) から球の中心の高さを引いたsというのを求めなければならないのだが、(i)と(iii)についてはこれはおまけみたいなものだ。
まず(i)の場合はs=4-rに決まっている。
(iii)の場合も下図よりすぐに求まります。

というわけで実質(ii)の場合がどうなるかを考える問題ということになります。

幾何的なアプローチでは何も見えなさそうだったので式処理で行きましょう。

交点について、これらを連立したらyについての2次式が出てくるので、これがy>0に実数解を持つ条件を求めましょう。

こういう式が出てくる。
(i)の場合というのは、r=4-sなのだから、y=0が解になるというわけ。このとき、y(y+(2s-7))=0となるが、s≧7/2つまりr≦1/2のときにy>0の解を持たない。
逆にr>1/2では、もし地面に着いたと仮定すると放物線と他の交点を持つ、つまり球が容器を突き抜けていることになり、これはおかしいので(ii)の場合になるということになる。

接しているということは重解なので (※y=0での「接する」は重解ではない) 判別式=0となる。実際に計算すると

こうなる。思ったより簡単な式になってくれました。

(ii)と(iii)の境界は、解がy=4になるところであるため、実際に代入してr=√17/2が得られる。

よって答えは以下の通り。

(2)
あふれ出る水の体積=容器に入っている球の体積であるため、要は球のy≦4の部分の体積が最大になるrを求めよといっているのと同値です。
ということは、まずs≧rの場合は球が全て入っているため、rについて単調増加です。というわけでまず15/4-r^2≧rを解きに行くとr≦3/2となります。ここまでは単調増加。
r>3/2の場合に球が容器からはみ出すようになるため、話が面倒になってきます。

さて、この部分の体積をいかにして求めるかですが、まあ積分するしかなさそうですな。
というわけで、4-s-r≦y≦4について球の断面積 {r^2-(4-s-y)^2}πを積分しましょう。

 

嫌すぎ。

rについての複2次式かなと思いきや最初にある2r^3/3のせいでどうやらそう単純なものではなさそうです。展開すると(15/4)^3とかいうヤバそうなのが出てくるので展開したくなさすぎです。このまま微分に取り掛かります。

解けるのかこれ!?
せめてなんかヒントないのかヒント。あったわ。r=3/2が球がはみ出し始める境界だからこの近辺で体積は減少に転じたりするのではないか!?

ダメじゃないか嘘つき! いや誰も嘘なんてついてないが。しかしですよ、ズレの48ってのは第3項の24のちょうど2倍です。ということはここが-24になってくれればいいのである。都合のいいことに、rの奇数乗の項はここだけですからr=-3/2を代入すれば0になるのである!

よっしゃ! 一歩進んだ!
で、95が3の倍数じゃないのでもう1度(2r+3)で括れるわけでもなく次はどうするか? まあ5/2なんじゃねえのこれ?

やったぜ。

これにて極値を与えるrが求まった。r=5/2とr=√5-1/2だ。ただし、r>√17/2になるとそういえばまた話が変わってくるため、r=√5-1/2が極値を与えることになる。
このとき2r+3>0、2r-5<0で4r^2+4r-19は負→正に符号変化するため極大値となります。どうやらメタ読みでこれが最大値っぽいですが、まだr>√17/2の考察が残されています。

r>√17/2での考察は明快だ。なぜならば

このように球は容器の入り口(?)を完全に塞ぐことになるのだが、球の半径がデカくなるにつれて、容器の中に入る部分はどんどん小さくなる…。
具体的に言うと、集合A(r)を(半径rの球)∩(容器)=A(r)と定義すると、√17/2<a<bなるa,bについて常にA(a)⊃A(b)が成り立つということです。ということはrについて単調減少であるということですから、この範囲に最大値はありません。

以上よりr=√5-1/2が答えとなります。