ぽぴれあの大学入試数学解説ブログ

2014年度東大数学113点のぽぴれあちゃんが受験数学を解いてイキるためのブログです

1991年度 東大後期数学 やってみた

次からは完全初見なので気が向いたときにやりますw

第1問 難易度:C***

僕の解答時間 (18歳当時) :16分46秒

いつぞやの東工大後期を解くときに発想を拝借した問題です。この問題を解いて以来、a^b=b^aを見たらlogx/xが頭に浮かぶようになりましたw

(1)
単に微分して増減表を書くだけの基本問題です。

(2)
正の数a,bに対してa^b=b^aはloga/a=logb/bと同値です。なので、y=logx/xのグラフに横線を引っ張って、2交点のx座標をa,bに対応させるということと同じになります。


これで、横線のy座標はloga/a=logb/bを表しています。
いま対称性よりa<bとすると、1とeの間にある整数は2だけであるため、a=2が必要であることがわかります。そしてこの時bはただ一つ存在し、b=4が十分性を満たすため、(2,4)のみが等式を満たし、他の場合は存在しないことがわかります。
対称性を剥がして、(a,b)=(2,4)、(4,2)となります。

なんでlogx/xの増減を調べたんだ? というところをヒントに変形ができるかがポイントです。

(3)
この手のものを証明するにはx=p/q (p,qは互いに素な自然数) とでも置いて背理法で矛盾を導くのが常識です。
というかこの問題単体でも解けそうな気がしますが、せっかく(2)でa^b=b^aなる自然数は(2,4)と(4,2)だけという事実を導いたのですから、それを使う方向に証明を寄せていきましょう。


第2問 難易度:D***

僕の解答時間 (18歳当時) :46分34秒

気付けば一瞬、気付かないと泥沼という一発勝負的問題です。
2問とも、頭から抜けがちな考え方を使います。

(1)
何はともあれまず図を描きましょう。

 

1996年度東工大後期でも見たように、直交する円の接線は、もう1方の円の中心を通ります。
これは別に暗記事項でもなんでもなく、円の接線と中心を通る線は直交しているんだから図を描けば当たり前です。変なとこ覚えようとして無駄な労力を費やさないようにしましょう。

円が出てきたら中心と各点を結んで色々やってみるのも常識的テクニックです。というわけで色々書き込んでみましたが、これだけで直線AB上にO_3があることを示すのは難しいです。

ここで決め手となるのは「直交」という条件がやはり重要そうだということ。三平方の定理からO_1、O_3との距離は√(r_1^2+r_3^2)です。座標を用いてこれを表現すると

こうなります。これは、中心間の距離を式で表しただけで特に難しいことは述べていません。
これは言い換えると、こういうことです。

実はO_3というのは2円の交点 (のうちの1つ) であることがわかりました。
ここで登場するのはという考え方です。束というのは
「2つの図形f(x,y)=0とg(x,y)=0が交点を持つとき、f(x,y)+k・g(x,y)=0はその交点すべてを通る図形を表す」
という、多くの人が「ああそういうのあったなあ」とぼんやりと覚えているであろう原理です。
高校数学で円束を使う場合、最も多いのは2円を表す式を引いてやると交点を通る直線が出てくるということです。今回の場合だと、直線ABが

この式で表されます。2次の項は消えるのでこれは直線です。
これって、

なんとこの2式を引いたものと同じ式なんです。というわけでA,B,O_3が同じ直線上にあることが半ば当たり前として示されたわけです。

(2)
18歳当時の私はこちらで苦戦しましたが、ある定理を使えば一瞬でした。
その定理とは方べきの定理です。

余計な線を消して書いてやるとこの通り。
O_3、A、Bが一直線上にあることにより、点O_3を起点に方べきの定理を適用することができ、半分自明みたいなものです。

この問題はこのように、束や方べきの定理が見えてしまえばあとはあまりにも当たり前のことしか言わないため、解法の大まかな方針さえ知っていれば5分で解答が書けてしまいます。
が、初見で私のかかった時間は46分34秒と遥かに長いです。難易度だってDと書いてあります。入試数学は初見で解法を思いつくまでのハードルが高いことも多く、見たことがある問題が早く解けるのは当たり前です。そこを理解していないと「東大理系数学、〇〇分で全完しました!」みたいな情弱ビジネスに騙されることになります。実際僕だって2014年度東大数学を今解けって言われたら70分もあれば終わります。



第3問 難易度:D****


18歳当時は65分くらいかけて間違えましたw 間違えたんですが、当時と同じやり方でリベンジします。
第2問と違い、こちらは処理量が多いので見たことあっても時間がかかります。少なくとも5分で終わるわけはありません。

(1)
角APBが一定のまま動くということで、円周角の定理の逆からPがある円周上を動くことがわかります。
座標を置いて計算しないとどうにもならなそうなので、半円の中心を原点において考えてやりましょう。

点Pは円Cの円周上の弧ABの部分を動きます。条件より90°<θ<180°です。ちなみに18歳当時は中心角を2θとしていたために間違えました。ケアレスミスって怖いですね。範囲確認は怠らないようにしましょう。
Cの中心と半径を求めましょう。三角形OCBに対して三角比ですぐですね。OC=-1/tanθで、半径は1/sinθです。つまり点Pはパラメータtを用いて

とおけます。角を表すパラメータが2つある! と一瞬ビビりますが、θは定数なので1変数です。また弧AB内にPがあるということでtの範囲に制限がつきますね。θ-90°<t<270°-θとなります。

Pを求めたので、続いてQ、Rを求めれば五角形の面積が求まります。が、Q,Rを求めるのは容易ではありません。
直線APの方程式を出して、これ上の点でOとの距離が1の点…とかやってると日が暮れそうです。
点Q、点Rともに半円上の点ですから、中心角が分かれば座標がわかります。
というわけで、点Qに関しては頑張って角QOBを求めに行きます。これは円周角である角QABを求めればそれを2倍して求まります。では角QABを求めるにはどうすれば… というのを逆算していくと

Pの座標を求める時に使った、x軸との偏角tを用いて、Qの座標を求めることに成功します。

同様にしてRも求めると、R(sin(t+θ)、-cos(t+θ))となります。

五角形の面積を求めましょう。△AQB+△ARB-△APBが簡単で良いでしょう。
どれも底辺×高さ÷2で一瞬です。AQ×QB÷2とかじゃなくて、AB×(y座標)÷2のほうね。具体的に求めるとcos(t-θ)-cos(t+θ)-(sint+cosθ)/sinθ
これを整理するとこうなる。

1次式なのでsintについて単調ですが、2(sinθ)^2-1の正負で話が変わってきます。ついでにtの範囲はθ-90°<t<270°-θになるので、勝手に0とか代入しないように。対称性からθ-90°<t≦90°の範囲で考えればいいです。
答えはこれになると思う。

(2)
下限 (最小値という意味ではない) が0なのは自明で、実質上限を求める問題です。
-(cosθ+cos2θ)/sinθを微分して最大値を求めましょう。最大値をとるθは具体的に出てこないので、αとでもおいて代入。
思ったよりも変なところで最大値が出て、気持ち悪い値が出てきます。