ぽぴれあの大学入試数学解説ブログ

2014年度東大数学113点のぽぴれあちゃんが受験数学を解いてイキるためのブログです

1990年度 東大後期数学 やってみた

大層な前書きを垂れましたが、1990年度は東大後期の中でもまだ簡単だった年で、当時18歳だった僕でも150分3完できました。というわけでまずはウォーミングアップ

ところで大数評価ってC***、D****、C***で*は1個10分ってことらしいけどこれって100分で全完できるよね^^って意味ですか?
もしそうなら当時の僕は大数の提示した基準をまるで満たしていないことになるのですが……。

第1問 難易度:C***

僕の解答時間 (18歳当時) :64分54秒

さて、問題文の理解は容易です。要は1辺2の正方形の面積を1:3に分ける直線の通過領域を求めよというわけです。
「点Pを通って、Qの面積4を1と3に切り分ける~」と言われるとちょっとわかりづらいですが、言い換えれば「点Pを通る直線を引いてはいけない」つまり点Pがいてはいけない場所は1:3に分ける直線全体であるということになるため、直線の通過領域がそのままPの存在""しない""範囲となるわけです。
もちろん、逆を考えるのは困難であるため、直線の通過領域の方を考えて全体から引くことにします。

ちょっと考えると、直線が正方形を分ける場合は次の2パターンに分類されることがわかります。

三角形が出る場合と、台形2つが出る場合ですね。
これら2パターンを同時に考慮することは無理そうなので、場合分けが行われます。

まず簡単そうな①の場合から。

対称性があるので、直線は辺OA、OCと交わると勝手に決めて考えて問題ありません。あとで正方形の中心(1,1)周りに90度ずつ回転させればよいです。
いま、切られた三角形の辺の長さをa,bとすると、当たり前ですが0<a,b≦2。面積に関する条件からab=2。また直線の方程式は(a,0)と(0,b)を通るためbx+ay=abとなります

この2つの条件から通過領域を求めるべく、まずbを消去。bx+ay=abにab=2を代入して…

2x/a+ay=2 (1≦a≦2)

これを満たす点(x,y)の存在領域を求めましょう。
いわゆる順像法、逆像法のどちらでもよいでしょう。

順像法は、いずれかの文字を固定し、もう1つの文字のmax,minを求める方法。
逆像法は、パラメタについての方程式と見て、解の存在条件に持ち込む方法でした。

困ったことに2次の係数に文字があるため、その正負で場合分けが生じてしまいます。順像法だとさらに頂点が定義域内にあるかないかで話が変わってくるため、y<0、y=0、0<y<1/2、1/2≦y≦1、y>1と場合分けが5通りにも及びます。
逆像法でも場合分けが4通りありますが、まだこちらのほうが楽そうです。今回は逆像法を採用しましょう。

分からん人のために図解


で、条件を整理して図示するとこうなります。
f(1)=2x+y-2
f(2)=2x+4y-4
D/4=2xy-1
軸=1/y

y=1/2xが2直線に接していることに注意です。というか感覚的に接するだろうなあっていうのは分かるかと思います。

これを90度ずつ回転させたものを4つ用意させてやりたいのですが、どうももう一つの場合も90度回転が必要そうなので、あとでまとめてやってしまうことにします。

というわけで続いて②の場合。


こちらも対称性より、辺OAとBCでぶった切って、左側が面積1である場合のみを考えて90度ずつ回してやればよいです。

条件は0<a,b≦2、a+b=1です。そして直線の方程式は(a,0)と(b,2)を通るため2x+(a-b)y=2aです。
①と同様に、1文字消去して

2x+(2a-1)y=2a (0<a<1)

これの通過領域を求めます。まともにやろうとすると地味に面倒ですが、
(2x-y)+a(2y-2)=0と変形すると直線が定点(1/2、1)を通ることに気付けるでしょう。
通る定点が分かれば、あとは傾きの範囲を求めれば通過領域が求まります。y=の形にすると0かもしれないものが分母についてうざったいので、
x=a-(a-1/2)y
のほうで整理して、-1/2<傾き<1/2。つまりこうなる。


①、②を合わせた通過領域を90度ずつ回転していくことでこうなる。

なんだこりゃw
図が下手で申し訳ない。

今、条件を満たさないほうを考えているので、真ん中のぽっかり空いた穴の部分が求める領域になります。

ここまで終われば面積計算は簡単。申し訳程度の数Ⅲ要素です。


ちなみに、東大後期の解答用紙は各問題B4の表裏が使えるため、自由帳4ページ分は書いていい。

第2問 難易度:D****

僕の解答時間 (18歳当時) :62分24秒

行列。知らない人のために簡単に解説すると、

こうなって 、

こうです。
(※これは行列履修者なら常識なので、当たり前にここまでは辿り着けるものだと思ってください)

つまり、六角形Hとは

こういうことです。すべての内角が120°で、六角形の各辺の長さがa_iです。

(1)
つまりすべての内角が120°である六角形において向かい合う辺の差は等しいことを示せということです。

算数でやったと思いますが、辺を伸ばして正三角形を作り、パラメータを4つ設定してやるとこのように示すことができます。

(2)
辺の長さの和が6で、対辺の差が1のときに六角形の面積の最大値を求めよという問題です。
先ほどおいたパラメータを借りると辺の長さの和は3x-(a+b+c)で、差はx-(a+b+c)です。つまり、正三角形の1辺x=5/2、小さな正三角形の1辺の和a+b+c=3/2ということです。
こんなもんどうせa=b=c=1/2で最大なんだろって思うかもしれませんが、それをちゃんと証明しないといけません。

Hの面積=でかい正三角形-√3/4×(a^2+b^2+c^2)
で、(1,1,1)と(a,b,c)を用意してコーシー・シュワルツの不等式から
(a+b+c)^2≦3(a^2+b^2+c^2)なのでa^2+b^2+c^2の最小値3/4 (等号成立a=b=c=1/2)

よって、
Hの面積=でかい正三角形-3√3/16
でかい正三角形=25√3/16なので、最大値11√3/8

終わり。

(3)
差の条件が取っ払われて、差が動き回ります。要は2変数関数の最大最小問題を1文字固定で解くということです。
a+b+c=tとでもおくと、辺の長さが和が6という条件からx=t/3+2。


ちなみに正六角形になるので、直感と一致しているでしょう。

なお、18歳当時の僕は算数を知らなかったので、ゴリゴリ成分計算して解いていましたw


第3問 難易度:C***


僕の解答時間 (18歳当時) :21分37秒

問題文が異様に長いですが、要は同じ図形を3つ組み合わせて作った道を通る場合の数を数えたいということです。

(1)
数えるだけです。

ところでこういうのって、これ以外の場合が無い証明ってどう書くべきなんですかね。樹形図という便利な書き方があるのでそれで網羅したことにしていますが…。

(2)
漸化式を求める問題。(3)はどうせ代入するだけですから、実質この問題のみが障壁です。

中身のごちゃごちゃは簡単に省略して、A(n+1)からC(n+1)を通らずにB(n+1)に向かう方法を考えましょう。
こうやって簡素に書くと、(1)で考えたn=2での行程を考えるのと同じになります。
x2=7でしたから、全7通りについて見てみましょう。

まずこのパターン。n=2のときは真横に2回と表現されましたが、これは小さい3つの正三角形Q_nについて図のようにA_n,B_n,C_nを書いた際に、A_nからC_nを通らずにB_nに向かうという行為を2回行っていると考えることができます。つまりこの場合の数は(x_n)^2通りです。
何故そうなるのか。それは、例えば1個目の正三角形についてC_nに到達してからB_nに至るとしたら…

それは、上図のパターンに相当するからです。
一般のnの場合を、n=2で調べたパターンに落とし込めるかどうかがこの問題を解くための第1の関門です。
なお、この場合は(y_n)・(x_n)通りですね。

更に、答えに辿り着くための関門その2。

この場合はどうすればいいのでしょうか? ええと、最初の矢印はx_nで、次は左上に行ってて、またx_n? なんか違うな…。


正解はこの通り。
あくまで考えるべき正三角形は3つで、それぞれについてもう1つの頂点を経由してから抜けてるか、まっすぐ抜けてるかを考え、適切にA_n、B_n、C_nの位置を置き換えてやれば表現できます。
なのでこの場合は(y_n)・(x_n)^2通りとなります。

以上のことを、x_2=7通り、y_2=3通りの10通りそれぞれについて表現してやれば答えが出ます!

答えはこの通り。

キモッ!

(3)
こんな漸化式、一般的に解けるわけがございません。
というわけでn=2の場合を代入して計算します。計算ミスしないかどうかだけが全て。

x_3=737
y_3=273

つまり図形Q_3において、同じ頂点を通らずにA_3→B_3に行く方法は実に1010通りもあるということです。膨大過ぎて誘導に従って漸化式を出さないと到底求められないですね。

もちろんめちゃくちゃ頑張ればn=4以降も求められます。Excel先生に計算させたらx_4=697905927、y_4=258140883と出てきました。合わせて約10億通りですw


以上。1年目は軽いジャブみたいな感じでした。この年は前期が歴代最難関候補と言われているので、後期のほうがむしろだいぶ解きやすかったかと思います。