ぽぴれあの大学入試数学解説ブログ

2014年度東大数学113点のぽぴれあちゃんが受験数学を解いてイキるためのブログです

1999年度 東大後期数学 やってみた

例のアレをスルーして、ようやく折り返し地点です。
1997年度から本気出してきた感じがしますね。

第1問 難度:D****

かかった時間:14分53秒

やってたらあっさり解けちゃったので何が難しいのか分かりませんでした。つーか(2)までは解けないと恥ずかしいです。

(1)
(高校数学において) x=aにおいて関数f(x)が連続であるとは、lim[x→a]f(x)が存在し、かつそれがf(a)の値と等しいことと同値です。定義通りに極限を調べて未知数を決定するのは数Ⅲの定番問題。

sin(nx)/sinxのx→0における極限がnなのはもはや説明不要だと思います。というわけでc_n=nとします。
ホントにそれだけ。記述入れて2分で終わるんじゃないだろうか。

(2)
sin3x/sinxを簡単にしましょう。問題が簡単すぎるので3倍角の公式は一応示すか…。
1+2cos2xと出る (x=0でも成り立つと言っておこう) ので積分してください。πです。
記述入れて2分で(略)

(3)
確かに少し難しいかもしれませんが、まさかsin(2n+1)xが直接求まるとは思わないでしょうから、sin(2n-1)xを使って表して漸化式を考えるという発想にも行き着きやすいでしょう。

加法定理を使ってやると、2cos(2n)xというのがハミ出ますが、ここは積分すると0になるため、積分値が常に一定になることがわかります。(2)でそれがπと出ているので答えはπです。以上。




第2問 難度:C****



かかった時間:27分22秒

これのほうが遥かに難しかったんですけど……。

(1)
y=t(x+1)を代入して2次方程式解いてください。知ってる人はこれはああt=tan(θ/2)としたときの(cosθ、sinθ)のことなんだなということが一瞬で分かると思います。三角関数を全て有理関数に置き換える最終兵器と呼ばれているやつです。


ということでQ(s)Q(t)は(cosα、sinα)と(cosβ、sinβ)の距離としたほうが楽かもしれません。加法定理の証明かな?
すると最終的にこうなる。

問題はこれをtan(α/2)とtan(β/2)で表すにはどうすればいいんだ? ということですが、これは加法定理でsin(α/2)、sin(β/2)、cos(α/2)、cos(β/2)で表すことで解決します。

若干反則技ですが、これで面倒な計算を逃れられます。
なお、0<s<tとあるので絶対値は外すことができます。別につけっぱなしが間違いかといわれると間違ってるわけではないのですが。

(2)
まずは落ち着いて状況を整理しましょう。

s,tとα、βにはこのような関係があります。
そして半角のu,vについてこれが有理数ならば、(1)で求めたQ(s)Q(t)も有理数であることを示せと言っているのですから、tanの加法定理 (倍角、半角) によってs,tとu,vの関係をまず出すことが先決であるということは容易に分かるかと思います。

もちろん、tanの加法定理にともにα/2やβ/2を代入することでこれら式が得られます。あとはQ(s)Q(t)の式に代入してやれば

(1-u^2)^2と、(2u)^2つまり4u^2でカンのいい方は分かってしまいますが、(1+u^2)^2が分子に出てくるので√が外せます。
分子にs,tを残しっぱなしだし絶対値も適当につけっぱなしだしで随分といい加減な変形ですが、√さえ外してしまえば有理数加減乗除で閉じているので有理数であること自体の証明にはこれで十分です。ただ、一応分母の関係でu,v≠±1には触れておきましょう。

(3)
いきなり話題が飛びましたが、恐らくAiAjというものが今まで考えてきたQ(s)Q(t)に対応しているのでしょう。

まず、単位円に対して∠A_iPOの半角のtanが有理数となるようなA1~Anを適当に取ってやりましょう。すると(2)の事実よりAiAjは有理数です。
これだけだと全然A1~Anが格子点に乗ってませんし、AiAjも整数ではありませんが、ここですべての半角のtan、AiAjの分母に現れるすべての整数の公倍数を全体のスケールに乗じてやるという豪快極まれる操作をすることにより、A1~Anは格子点に乗りますし、AiAjの長さも整数となります。
……ということで存在が示されました。

有理数であることまでは行きつくでしょうから、あとは全部掛けしてやれば分母が消え失せて整数になるでしょうということがポイントです。





第3問 難度:D*****

かかった時間:43分29秒

1998年度第3問に負けず劣らずの問題文の長さを誇ります。1997年あたりから第3問は無理ゲー枠になってきた?

とりあえず問題文を解読せねば話が始まりません。まずは四角形の相似の定義が書かれていますが、これは中学生でやったことが難しく書かれているだけなので特に真新しいことはありません。
その次にある四角形A_nB_nC_nD_n=K_nについて、相似な四角形をどんどん繋げて図形列を作ることに対する定義が為されています。

それはまず四角形K_nがあり

K_(n+1)はC_nD_nの辺を新たにA_(n+1)B_(n+1)と定め、相似な四角形を繋げていくということである。

ただしこの問題の異色な点は、なんとこの添え字は0から進むだけでなく、マイナス方向にも戻って定義されるという点です。

※相似ってことにしておいてください

マイナス方向にも伸びるとは奇妙な図形列です。とはいえアホほど長いことが書かれていますが問題の要点はこれだけです。それでは設問を解いていきましょう。

(1)
まず初期の四角形K_0が定義されます。それは以下面倒なので添字の0は省略するとして、2頂点A(2,0)、B(8,4)があり、またP(4,12)として頂点Cは線分OP上… つまり、y=3xの0≦x≦4の部分にCを置きます。そしてBC//ADとなるようにまたy=3x上にDを置いて完成です。

さて設問は∠BOPなのですが、これは四角形を作る以前の段階で完結している、ただの非常に簡単な角度の問題です。さすがに解けねばなりません。
BとPの座標がかなり恣意的なので気付きやすいですが、2点間の距離計算でOBPが直角二等辺三角形であることがわかるため45°と即答できます。

なお、それが見えずとも解くことはできます。
当たり前ですがBはy=x/2上にあり、Pはy=3x上にあります。つまり偏角のtanを考えると

tan(β-α)=1であることが加法定理からすぐわかるため、β-αつまり∠BOP=45°がわかります。
ベクトルや三角関数は幾何が苦手な人の助けにもなる便利なツールですね。

(2)
ここから本番。
まず四角形列を作っていくといづれ最初の四角形と完全に一致したと言います。ということはまず四角形列は相似である以前に合同であるということがわかります。すなわちAB=CDが必要条件です。

また、逆にこの時∠POB=45°であることから、四角形K_(n+1)は四角形K_nを原点中心に反時計回りに45°回転させたものとなり、8個四角形を作れば完全に一致して十分となります。
それではAB=CDとなるためのCの座標を求めましょうか。これは普通はどう解くのかは知りませんが、僕は四角形ABCDが等脚台形となり、∠POBの二等分線に対して対称であることが必要十分であるため、OB=OCと同値であると考えそうです。すなわちOB=4√5であるからC(t,3t)とおいてOC=4√5、t=2√2ということですね。というわけでC(2√2、6√2)

(3)
この問題で苦戦しました。僕の描いた図がヘタクソすぎてどうにも隙間を全て埋め尽くすというイメージが持てなかったのです。
とはいえイメージが難しければ数式の力を借りるのが常道。45度刻みで一定の倍率で拡大or縮小しながら回転し、8回四角形を作れば元の角度に戻ってくるというもの。そのうえで隙間なく埋め尽くすには…?

簡単で
す!

四角形K_8がK_0と1辺を共有し、小さいか大きいかのどちらかであればよいのだ。
その相似比はAとBの座標を見比べると一目瞭然で1:4ないし4:1に決まっていますから、8回繰り返すとなると倍率は4の8乗根または1/4の8乗根になりますね。これはAB/DCの比ですからつまりOB/OCの比に相当します。
それぞれについてCの座標を求めてやるとこの通り。

さて、これでCは求まりました。なんかまだ要求がありますね。点(100,50)が含まれるnを求めよ…?

(100,50)というのは直線OBの延長線上ですから四角形同士の境界線上にあることはなんとなくわかります。頂点Aのx座標は1周するごとに2→8→32→128となっていきますから、K_15とK_16ないしはK_(-16)とK_(-17)の境界線上にあります。マイナスは時計回りになることに注意!
当然デカくなっていくとき、つまりCが前者のときにn=15.16で後者のときにn=-16,-17です。これはここまで辿り着けていればおまけのような要求でした。

そうは言っても果たしてここまでのことを解答にどう書けばいいのかは難しく、これだけで20分以上悩みましたw こういうの苦手なんだよなー…。

別に1ページで終わらせる縛りをしているわけではないのですが…。
ちなみに実は私は不要と感じたら解答に図をあまり描きません。