ぽぴれあの大学入試数学解説ブログ

2014年度東大数学113点のぽぴれあちゃんが受験数学を解いてイキるためのブログです

2011年度 東工大後期数学 やってみた

遂に完走です!

第1問 難易度:C

(1)
受験数学やってるとそのうち「次元が1個上がっただけで平面と空間ってほとんど変わらないことも多いんじゃないか?」ということに気付くかと思います。

例えば、平面上で三角形の内接円の半径を求めろと言われたら、こうやって3つに分ければ底辺×高さ÷2を全部足すと面積になるのでS=r(a+b+c)/2となるのは義務教育で習うので当然知っていることでしょう。

同様に

四面体をこのように4つに分けて、底面積×高さ÷3を全部足すと体積になるので

V=r(S1+S2+S3+S4)/3

となります。
座標が優しいのでV=t/6はすぐわかり、底面積はそれぞれt/2、t/2、1/2、まではすぐわかります。

三角形ABCがちょっとめんどくさいです。
これはもう半分解法暗記になるんですが、空間における三角形の面積は、2辺をベクトルで表して1/2・√((絶対値の積)^2-(内積)^2)で求めるのが鉄則です。というのも平面でよく使う1/2・absinθや1/2・|detA|が使えないor非常に使いづらいからです。
というわけでAB↑=(-t,1,0)、AC↑=(-t,0,1)として面積は
1/2・√((t^2+1)^2-t^4)=1/2・√(2t^2+1)
とわかります。

これで全部未知数が求まったので代入して

という非常に嫌な予感がする形のrが出てきます。

(2)
これ3乗するの…?

球Pの体積を四面体OABCで割った値というのはもちろん
4πr^3/3÷(t/6)=8πr^3/tのことを意味します。
というわけでr^3/tとかいう非常に計算したくないものの最大値を求めろというわけです。
やってられないので策を考えます。

まず考えられるのはそもそも3乗計算自体がめんどくさいので、rをtの式で表すのではなく、tをrの式で表すということです。
分母を払って、√とそれ以外で分けて、2乗したらr≦t/(2t+1)という条件とtの2次式が出てくるので整理。
やってみるとなんと定数項が0になってくれるため、簡単に解けてこうなります。

おお、√が完全に消えて有理関数になってくれた。これならめちゃくちゃ楽そうです。
これがr≦t/(2t+1)を満たしているか確認。代入して整理するとr<1/√6という条件下ならこの変形に問題は無いと出ます。
そして、t>0という条件があるのでこの有理関数>0を解くと0<r<1-1/√2が定義域として出てきます。他にもいろいろ出てくるけど、r<1/√6を満たさないので棄却されます。
これで心配事はなくなりました。

求めるのはr^3/tなので、

残念ながら分子は分母で割れないのでこのまま分数関数の微分に入ります。
4次式が出てくるので因数分解もすると…

0<r<1-1/√2に該当するのはr=(3-√3)/6のみで、このときが極大値=最大値となります。
最大値となるのですが、馬鹿正直にrの4次式に入れるとクソめんどくさいので

このように割り算で次数下げをして計算を楽にしましょう。
1次式に入れれば簡単です。
最後に8πをかけるのを忘れないように。

第2問 難易度:C

ラスボス。

(1)
パラメータ表示されていますが、x^2+1=y^2 (x,y>0) がすぐわかるので、この曲線Cは双曲線であるとわかります。
するとS1,S2がどういう領域を指しているか簡単にイメージできるでしょう。

S1は√(x^2+1)を積分すればよく、誘導ではx=tanθと置換しろと言われていますが、現代では受験数学が非常に発達していて、もはや答えごと覚えている人もいることでしょう。
また、この手のはu=x+√(x^2+1)と置換すればよいという知らないと到底思いつかないような置換法も今や有名なので、わざわざ計算が面倒なx=tanθに従ってやる必要はもはやありませんw

それでも13年前はおそらく歯ごたえのある問題だったのでしょうから、時代の流れを感じる問題です。

(2)

これの極限。

対数関数を習った時にlog(nx)=logx+lognなので、xがn倍と言われると結構急に傾いたように感じるかもしれないけど実は平行移動しただけですよみたいな話を聞いたことがあると思います。
これもlogの中身がtの1次のorderなので、恐らくlog部分は発散速度が同じで、収束値は1/2なのではないか? という予想は付くと思います。

この考えのもと、分子をlog(t×なんか)の形にしてlogtを外に放り出してしまえば不定形が解消できます。


完走した感想

思ったよりも楽しかったです。
東工大って前期だと常人には完答不可能な問題 (例:2019-4、2011-4) がたまに出るので、正直もっとヤバい問題がゴロゴロしているんだろうと身構えていました。東工大に限らず他の大学のエグい数学の問題を見るたびに、数学が難しいことで有名な東京大学はあれだけ難しい難しいと言われているけど、実はなんだかんだで完答は不可能ではない程度の難易度ではあるのでちゃんとバランス調整しているんだなって感じることもあります。

しかし今回、後期の問題を22年分やってきた結果、すべての問題が無理なく解答可能な難易度で収まっている (いわゆる「捨て問」が無い) というのと、それでいて簡単すぎる問題はたまにしかなく、どれもこれも一定の歯ごたえがありました。 (1997-2は簡単すぎて逆にビビったけどw)

もちろん60分2問という試験ですから、あまり尖った問題は出せないという事情もありこのような良くも悪くも無難な問題が出題されているのでしょう。6問くらいあれば1問くらいクソみたいな問題があっても他を解けばいいが、2問しか無いのなら逃げようがありませんから。
ただ、無難ということはそれだけ汎用性が高い手法やテーマを扱う、日ごろの勉強の成果が出やすい問題になっているということです。
終わってみれば基本事項の復習にもなるような問題も多かったので演習価値は高いのではないか? と思いました。

ちなみに記事書く前に答えだけは一応他のサイト様で確認してます。堂々と間違ってるとさすがに恥ずかしいのでw
44問中、答えごと間違えてたのは1990-2の論証不備と2000-2の計算ミスだけだった。

結構楽しかったので次はどうしようかな。
実は高3の頃「東大後期数学18年分を全て解く (1998のアレは除く) 」ことを目標にしていた時期があったのですが、最初の3年分だけ解いて挫折したことがありますw 初めて解いたときの感動を失いたくないので、基本的に解いたことのない問題の答えは一切見ていません。今これに再びチャレンジしてみるのも一興かもしれません。

いつの間にかブログの記事一覧が東工大後期数学で占領されてしまいましたが、これで終わりにしたいと思います。

ではでは。

あ、最後に。間違ったこと書いてたら指摘歓迎です。