ぽぴれあの大学入試数学解説ブログ

2014年度東大数学113点のぽぴれあちゃんが受験数学を解いてイキるためのブログです

1998年度 東工大後期数学 やってみた

この年から大数評価が落ちていたので、併記してみます。ちなみにAが簡単でDが難しい。

第1問 難易度:B

発散速度と極限の問題。
一般にどちらも+∞に発散する分数関数の極限があったとして、各々の発散速度によって

(分子)>(分母) → +∞
(分子)=(分母) → 0でない定数
(分子)<(分母) → 0

と収束・発散が変わるのは常識です。
今回は一見単純な分数関数には見えませんが、(分子)=Σ[k:0~n-1]1/(n+k)^a、(分母)=n^bと考えてやれば分数関数と見ることができます。
というわけで、x_nが0でない定数に収束する条件さえ分かってしまえば、あとは上記法則を適用してやればすべてのa,bについての収束・発散が詳細にわかります。

分子と分母の発散速度を揃えるために、まずΣ1/(n+k)^aの発散速度を考えましょう。
任意のkに対して1/(2n-1)^a<1/(n+k)^a<1/n^aであることから、

こんな感じで大雑把にはさみうちして、Σ1/(n+k)^aの発散速度はn^(1-a)と同等ということがわかります。これが分母のn^bと揃えばいいので、1-a=bつまりa+b=1のとき、x_nは0でない値に収束するといえます。そして同時に

a+b<1 発散
a+b>1 0に収束

がわかるため、収束条件はa+b≧1で、a+b>1のとき極限値0と、ここまでわかります。

あとはa+b=1のときいかなる値に収束するのかがわかれば解決です。

b=1-aを代入して整理してやりましょう。めんどいのでΣの範囲について略。



色々次数をいじってみたら見覚えのある形、区分求積法の形が出てきました。これで極限値が求まるので万事解決です。
まさか引っかかる人はいないと思いますが、a=1のときだけ積分したらlogになるので場合分けが必要です。





第2問 難易度:C

また回転体かよ。しかもパッと見むずい。

(1)
円柱を斜めに切ったら切り口が楕円になるというのは大常識すぎるのか、既に問題文に書いてくれています。それの式を求めよと言っています。


本当は円柱は無限に伸びているんですが、とりあえず途中でカットした図を描いてます。
y=zとy=z+√2との距離が1なのは割とすぐにわかります。つまりこの円柱面は「回転軸との距離が1である点の集合」であることに注目します。

というわけで点(x,y,0)と直線y=zの距離を求めます。
平面だと「点と直線の距離」とかいう超高等技術で一発なんですが、空間だとそう簡単じゃない (点と平面の距離はあるけどね) 。

まず点と直線の距離というのは、点から直線に下ろした垂線の長さというのは大常識。
直線y=z、x=0上の点は(0,t,t)と置けます。(x,y,0)と(0,t,t)を結んだベクトル(x,y-t,-t)と直線の方向ベクトル(0,1,1)が垂直になるためには内積y-2t=0つまりt=y/2。
垂線のベクトル(x,y/2,-y/2)の長さが1であるため、x^2+y^2/2=1となります。以上。

(2)
回転体の断面積は((最も遠い点)^2-(最も近い点)^2)×πというのは大常識ですが、(2)でやろうとしているのはこの最も遠い点と最も近い点を視覚的に図示してみよということです。

たとえば(1)で出した楕円をz軸で回転させた場合を考えてみます。

この楕円が、z軸で回転して

長軸の長さが半径の円と、短軸の長さが半径の円がxy平面上の断面として出てくる。
これをyz平面 (x=0) で切ろうというのであれば、緑で示した部分だけが切り口として出てくる。つまり

Rのz=0部分として上で示した2線分が出てきます。
これをすべてのz=kに対して行ってやれば、yz平面上にRの断面が現れるはずです。

というわけで(1)で行った議論を(x,y,k)とy=z⋀x=0との距離が1である点の軌跡として拡張してみます。
するとベクトル(x,(y-k)/2,(-y+k)/2)の長さが1つまりx^2+(y-k)^2/2=1となりますから、これと原点 (z軸をz=kで切った断面は点(0,0)なので) との距離の最大最小を考えてやればよいです。

そうは言ってもこれを図形的に処理するのは難しい。ここはx=cosθ、y=√2sinθ+kとパラメータ表示をしてやれば2乗和によってcosθのほうが消えてくれて
(距離の2乗) = (sinθ)^2+2√2ksinθ+k^2+1
とsinθについての2次式になりますから、2次関数の最大最小問題に帰着してやるのが簡単です。
2次関数の最大最小は平方完成をするのが大原則です。というわけで
(距離の2乗) = (sinθ+√2k)^2+1-k^2
sinθと聞くと身構えてしまいますが、ただの-1~1の範囲を動く変数です。対称性からk≧0の場合だけ考えればよく、kと1/√2の大小で頂点が定義域の中か外かが変わってくるのでここで場合分けです。

最大値はsinθ=1のときk^2+2√2k+2
最小値は
k≦1/√2の場合、sinθ=-√2kのとき最小値1-k^2
k≧1/√2の場合、sinθ=-1のとき最小値k^2-2√2k+2

もちろんこれは距離の2乗なので、実際の距離は平方根を取って
最大値:k+√2
最小値:√(1-k^2)  (0≦k≦1/√2) 、|k-√2| (k≧1/√2)
が距離のmax,minとなります。

あとはこれを図示して、z≦0の部分はy軸で折り返してしまえばおしまい。

(3)
ここまで辿り着けたのならあとは計算するだけ。
一度断面の図示に気を取られたので、何をどうするんだっけかと戸惑うかもしれませんが、最大距離と最小距離がもう求まっているので、それの2乗×πを差し引いて積分するのみです。
(1次式)^nの形はバラさずにそのまま次数上げして、最後にまとめて処理したほうが計算が楽。





実は次回から急に難しくなるらしいです。ここからが本番ってことか…。