ぽぴれあの大学入試数学解説ブログ

2014年度東大数学113点のぽぴれあちゃんが受験数学を解いてイキるためのブログです

1999年度 東工大後期数学 やってみた

あけましておめでとうございます。
今年も頑張っていきます。とりあえずあと12年分です。なげー。
つーか誰か見てんのかなコレw

第1問 難易度:D

出ましたD問題。最高峰の難易度ですが、人によってはC問題のほうが難しいと感じることもありますし、Dでもアッサリ解けてしまうこともあり得ます。この問題はどうか。

まずこの積分をそのまま実行することはできません。具体値ではなく極限値を求めよというのはそういうことです。
今サラっとこう言いましたが、数Ⅲが演習量ゲーと言われるのは実はここに理由があり、積分値が求められないというのが自分の知識が不足していて求められないのか、理論上無理なのかというのを見極められなければなりません。数Ⅲの積分分野で最も重要なのが計算力なのは言うまでもありませんが、それと同等に大事なのは「何が可能で、何が不可能なのかを知ること」だと思っています。
当然、不可能に対し頭を悩ませることは時間の無駄ですし、ただただ計算するだけの問題で「はさみうちを使って…」と知略を働かせるのもまた時間の無駄です。その可能、不可能を判定するためには様々な関数にアタックする経験が必須です。

今回は割と分かりやすく無理そうなのでまあいいでしょう。

具体的に求められないのであれば直接的手段は避け、間接的手段… つまり、はさみうちの原理を使って極限値を求めるという方針に至ります。
しかしどう挟めばいいのかが分からない…。とりあえず色々試してみます。

まずsinとcosの2乗和が1であることからこういう式がまず浮かび上がるんですが、なんとなく左辺の第1項と第2項の極限が等しそうだ?
実際、区間0~π/2において∫f(sinx)dx=∫f(cosx)dxが成り立つというのは結構有名な事実です。なるほどその通りだよ君。しかし今回は分母に邪魔な1+xなるものがあり、f(sinx)、f(cosx)の形で表すことができません。
これで10分くらい考えてみたんですが、ここから先に全く進めなかったので断念。

別判断別ルート。

積分とは面積です。こういうイメージ図を皆さん一度は見たことあるんじゃないでしょうか。
y=(sin(nx))^2の山がy=1/(1+x)に合わせてどんどん小さくなっていくという感じ。

そして積分とは、面積を短冊で近似して、短冊の横幅を極限まで小さくしていくと真の面積に近づくよね? という考えでした。
今回n→∞で山の横幅が極限まで小さくなり、数も際限なく増えていくため、同じようなことをすれば同じような原理で極限が求まるんじゃね? というノリでπ/nずつの区間に分けて考えてみることにしましょう。

つまりこういうことである。積分区間π/2までということでnの偶奇で話が変わってしまうが、それはまた後でケアすることにして、この形にすると嬉しい進展がある。それは何かというと…。

邪魔な1/(1+x)を不等式によって外に定数として追い出すことができるのだ!

残ったsin2乗部分は当然容易に積分可能で、実はkの値によらない値π/2nとなります。つまり…

こうなります。こ…これなら区分求積法でいける!

Σの範囲をふまえると区分求積法の積分区間は0~1/2。これで実際に計算してやると極限値(log(1+π/2))/2となりこれでめでたく解決となるのでした。

D評価にしてはアッサリという印象を抱いたかもしれませんが、これは1999年度当時の評価であり、受験数学対策が行き届いた現代ではもう少し正答率が上がるのかな。

偶奇がどうとかって話は、場合分けをいちいちやるのは面倒なのでガウス記号を使ってちょっとだけ不等式の範囲を広げて対応。n→∞の前にはちょっとくらい広げたところで影響なしです。


第2問 難易度:C

第1問に比べれば考えやすそうです。円が出てきたら中心や交点・接点を結んだ線分を引きまくって図形的に考えると見通しが良くなるというのは大昔からずっとやっている通りです。その基本に則って考えます。

(1)
面積と円周の総和を求めろと言われますが、どちらも半径さえ分かれば求まるので、実質的に半径を求めろと言われているようなものです。

図があまりにも下手すぎて全然正六角形じゃないですが、小円の中心から大円の中心までの距離は、小円の半径×2であることがわかります。つまりk番目の小円の半径をr_kとすると、大円の半径1が
(そこまでの円の直径の総和)+(n番目の円の半径)+(半径×2)で表せるので
2Σr_k+3r_(n+1)=1
という漸化式が立ちます。Σがあると処理しづらいので階差を取って
2r_n+3(r_(n+1)-r_n)=0
つまりr_n=1/3・r_(n+1)となり、r_1=1/3なのでr_n=(1/3)^nであることがわかります。Σr_kの極限が1/2に収束するのと、すべての円の直径の総和は直感的に1になりそうということが検算になります。

半径が求まれば、円周と面積の総和も簡単に求まるでしょう。単純な無限等比級数なので計算も簡単です。

(2)
(1)では円が6個だったので真ん中に正三角形が6個できていましたが、円が3n個となると角度が違ってくるので、当然小円の中心からの大円の中心までの距離が2r_nに等しくなりません。



一部しか図を描いてないけどOというのは大円の中心。円が周囲に3n個あるため、この二等辺三角形の頂角は2π/(3n)なので底角は(1-1/(3n))πです。
正弦定理によって大円の中心と小円の中心間の距離は

 

と出てきます。書いてる途中に気付いたけど、nを問題文で使ってるからr_nじゃなくてr_mにしないとダメだねw
n=2で2r_nになっていることを軽く確認しておきましょう。間違えてn=1で検算しないように。
つまり(1)で立てた漸化式は(2)においてはこうなる。

同じように階差とって解けば無限等比級数が出てくるので、(1)と同様にこれを解けばOKです。

とはいえ計算がめんどい。

(3)
いつにも増してサービス感が強く、ここまで辿り着けたなら全く問題にならないでしょう。ちなみにS_nとはこれ

n→∞でsin部分が0に収束することから、sinx/x→1を利用するのは誰もが思いつくところでしょう。

こういうここまで来れたら誰でも解けそうなボーナス問題が何のためにあるのかについて。
もし極限値が+∞になるなど、メタ的に考えておかしいなと感じる答えが出た際にどこかで間違えていることに気付けるため、検算の意味合いがあるのかもしれません。

(2)で円が3n個になってるのに6個のままで計算しちゃって、(3)でおかしいことに気付きました。検算用の小問に助けられた形です。