ぽぴれあの大学入試数学解説ブログ

2014年度東大数学113点のぽぴれあちゃんが受験数学を解いてイキるためのブログです

1997年度 東大後期数学 やってみた

最難関と聞いて。なんと3問ともがD問題です。

第1問 難度:D****

かかった時間:42分40秒

答えは割とすぐに予想がつきますが、論証が難しい問題です。

(1)
こういうのは小さいnで実験してみます。新しく塗ったとこは赤。

a_1=4

a_2=10

a_3=19

このあたりでなんとなく、「a_n-a_(n-1)=3nか?」と予想がつくかと思います。ならばよくわからん数列の最終手段「答えを予想して数学的帰納法で示す」の出番でしょう。

そうは言ってもどう示せばいいのかがよくわからなかった。最初は「形状」の規則性を示そうとしていたのですが、これが上手くいかず。どういうことかというと…

こういう風に、正三角形に台形が3つ引っ付いた形をしていると見ていて

次はこのように正三角形が逆向きになるから、偶奇で分けて帰納法で行けるか? と思っていたのですが、どうにも示せない。あれ?おかしいなと思って様子を掴むためにさらにnを増やしてみる。

うん。いいじゃない。この調子。

ダメでした。
横についているものが台形ではなくなってしまいました。これでは示そうとしていた命題が間違っていたのだから示せるわけがない。n=6までやってようやく気付きました。

そもそも「形状」で帰納法ってなんだよセンスが無くてぽぴれあも大したことないなと思われるかもしれませんがが、僕は元からとりあえず思いついたことを試してみるタイプなので別に最初から正解が見えているわけではないです。いつもは試してみたことがそのまま解答に行き着くことが多いってだけでこういうこともある。
それにしてもこれだけで20分も無駄にしてしまったw


次の手を考えましょう。
とはいっても直接個数を求めるのは形状が不安定な以上難しそうなので、やはりここは「a_n-a_(n-1)=3n」に注目したい。つまり三角形が3n個増えていることを示すのだ。最初からそうするのが普通? そうかもしれないね。

度重なる実験により、なんとなく三角形は「くぼみを埋める (赤丸の部分) 」と「表面から突き出る (青丸) 」の2通りの増え方をするということがわかるはずだ。これらをp_nq_nとし、漸化式を作ってp_n+q_n=3nが示せれば解決するように思える。

1個前でくぼみを埋めるようにできた、突き出るようにできた三角形をそれぞれ赤と青の×印で表してみよう。ちなみにこれらの表現は曖昧なので、実際答案に書く際には「新しくできた辺が1本」と「新しくできた辺が2本」とでも表現してやればよい。
するとくぼみは突き出た三角形の間なので、1辺あたり突き出た三角形の数-1となり、それが3つあるのでp_n=q_(n-1)-3である。
続いて突き出るような三角形はくぼみを埋めた部分とその両脇に平坦な辺ができるのであるため、1辺あたりくぼみを埋めた三角形の数+2であり、それが3つあるのでq_n=p_(n-1)+6である。
両方足してやるとp_n+q_n=p_(n-1)+q_(n-1)+3である。n=1でp_1=0、q_1=3であることから晴れてp_n+q_n=3nが示された。

というわけで漸化式a_n-a_(n-1)=3nも示されたことになる。a_1=4であることからΣをとって、a_n=3n^2/2+3n/2+1となる。ふー。思ったより回り道をしてしまった…。

(2)
こっちのほうが楽勝で、10分で終わりました。が、これは僕が感覚的にこの極限を「1に決まってるだろwww」って感じられるからであって、一般的な高校生は感じられないので難しいのでしょう。感じるためには「無限の前には有限など無力!w」という感覚があればいいのですが、これをすぐ身に着けることは非常に難しいのでこう考えましょう。

極限が存在しないなら例を挙げよと言われていますが、その例ってどういう状態かってのが全然ピンと来ない→じゃあ極限はあるんだろう。

これで良い。受験数学なんてメタ読みです。というか「例を考えようとしたらどうもしっくりこないので、恐らくそれは有り得ないのだろう」という考えのもと、思考の方向性を定めていくというのは非常に賞賛すべき態度だと僕は思います。

では極限がいかなる場合にも存在すると仮定して、どのように考えればいいのだろうか。直接的に求められないのではさみうちの原理です。
ここで、はさむものは大雑把に持ってくればいいということに気付ければあと一歩です。無限の前には有限など無力であるため、仮に巨大な図形を持ってきたとしてもn→∞においては誤差として丸め込まれてしまうイメージ。

つまり、最初に有限個の正三角形が塗られているとして、それらを全て包み込むような巨大な正三角形を考えてやる。

赤が塗られている単位三角形として、それを全て包む込むように巨大な一辺Aの正三角形を考える。なお、このようなAの存在は高校数学段階だと無条件で保証していいでしょう。
さて、この一辺Aの正三角形の内部が全て塗られている状態を初期状態と考えると、b_nというのはここからスタートした場合以下であるのは自明です。というわけで、ここからスタートした場合の塗られた正三角形の個数をc_nとしてこれを求めてやりましょう。

(1)で使ったp_nとq_nを流用すると、まずp_1=0、q_1=3Aです。やたらでかくなっただけでp_(n+1)、q_(n+1)をp_n、q_nで表した漸化式は同じであるため、c_n-c_(n-1)=3(A+n-1)であることが容易にわかります。ということはc_n=3n(2A+n-1)・2+c_0となります。c_0がいかほどかは計算するのが面倒ですが、nの最高次の係数が3/2であるということだけが分かればよろしい。何故ならばn→∞においてa_n/c_n→1であることさえ分かってしまえば、あとは明らかにa_n≦b_nからa_n/b_n≦1であるためはさみうちの原理が適用可であるからです。

というわけで、大きな有限のものではさみうちができるかという問題でした。

ところで、どうやって答案書けばいいんだコレ…?



第2問 難度:D******

かかった時間:71分48秒

久々にこんなに時間をかけてしまいました。本番だとたぶん計算するだけの第3問を先にやって、この問題は終わり切らないと思います。


(1)
単純な図形の最大・最小問題のように思えます。ただし「双曲線の接線がA(x,y)を通るので~」という条件からB,Cの座標をx,yで表そうとすると死を迎えるので、ここはa,b>0なるa,bを用いてE(a,1/a)、D(-b,1/b)と接点を設定して、Aはこれらの点の交点であると考えればうまくいきそうです。なんでx<0のほうが先に来てるんだよ。めんどくさいなw
実際こうするとC(2a,0)、B(-2b,0)となるためかなり単純である。

Aは連立させれば求まりますが、僕は計算が苦手なのでこのAを求めるのにも5分くらいかかりますw
底辺BCは2(a+b)、高さがAのy座標であるため、△ABCの取り得る面積の範囲というのは

これの範囲を求めれば良いことになります。

対称式なので基本対称式a+b、abで表してあとは存在条件(a+b)^2-4ab≧0から範囲を絞ればよさそうか? 

こう変形できて、これはabが大きくなると増加していくので、ab=(a+b)^2/4のときに最大値4、ab>0より面積>2になるのだろう。んー? なんか違う気がするなァ。さすがに実数解条件だけじゃなくてもっと条件あるだろ。違和感があったが、15分ほど悩んでもその正体に気付けなかったため、ひとまず(2)に取り組んでみました。

(2)
△ADEの取り得る面積の範囲を求めます。これは底辺×高さ÷2で求めるには無理があります。ちょっと考えましたが、A,D,Eの座標が全て求まっているので色々考える暇があるなら|det(AD↑ AE↑)|/2で頑張って求めたほうが早そうです。 (高校生にも分かりやすく言うと1/2・|ad-bc|)
D,EはともかくAの座標が大変なので計算は苦労します。だから文字式って嫌いなんだよね。

計算の結果、次のような式が出てきました。ちなみに僕は計算ミスしないようにこういう大変なものは2回ずつ計算しながら先に進むので結構遅く、10分くらいかかる (急ぐとよく±間違える) 。

これが面積であり、これの範囲を求めれば良いです。
ひとまず(a^2+b^2)/abというカタマリがあるのでまずこれの範囲を求めれば良さそうなのはお判りでしょう。割とすぐにこれが2√2であるときに面積が0になるということがわかります。それはさすがに変 (三角形ができないということなのだが、共通接線が無いので有り得ない) なので2√2にはなり得ないということがすぐにわかるのですが、ここで行き詰まってしまいました。
というのも、a+bとabについて実数解条件から絞るアプローチでは(a^2+b^2)/ab≧2であることしかわからず、=2√2を否定できなかったのです。とはいえこれはすぐに解決。いま実数解条件しか見てなくてAが何処にあるかの制約すらつけていなかったので、Aが曲線上に乗っかってしまってる場合も含まれていたわけだ。計算めんどくさいけど=2√2というのはそういう場合で、DやEがAと重なっているから三角形ができていないのだろう。
しかし別の問題が発生! これ、三角形無限にデカくならんか…?
実際、a→∞、b→+0となる場合を考えると

これでDやEが遥か彼方に飛んでいくと際限なくデカくなっていくんですが…? さすがにそれは問題としておかしいので、何か条件を見落としているな。

しかし僕の頭の調子が悪く、この問題を考え始めてから40分経過するまでそれに気付けなかったです。問題文をよく読むと「2点A,Bの間の点D」と書いてあるではありませんか。なるほど、つまりA,D,BやA,E,Cがこの順に並んでいるという制約があったのか! 恥ずかしながら全然気づかなかったぜ!

ということは(1)からやり直さないといけませんね。とはいえもう面積の立式はできているのですから、あとはこの条件を数式にすることさえできてしまえば簡単でしょう。

図を描いてy座標に注目すると、0<1/a<(Aのy座標)が成り立ち、これがA,D,Bがこの順に並ぶ必要十分条件となります。bについても同様。
この条件を整理すると以下の2条件ができます。


なお、時間をかけすぎた焦りからか計算ミスが多発し、a^2+2ab+b^2>0という常時成立する条件が出てきたり、同じ式に対して>0と<0が出てきて存在しなかったりしたが、明らかにおかしすぎるのでミスに気付けたのが幸いか。

結構動揺していたので (実戦ではこうなったら他の問題行きましょう) 式の対称性が崩れてしまったことに対して「あれ? これ基本対称式で考えるルートを外れなければならないのか?」と気付き、新たな方向へ舵を踏み切るのにも時間をかけてしまいました。

対称式ではなくなってしまったが、これは特殊な式の一つである同次式 (斉次式) であります。同次式は文字の比を見に行けばいいというのは常識で、それに気づけば条件を以下のように変形できます。

aとbの立場は同じであるため、b/aに対しても同じ不等式が成り立つはずですが、√2-1と√2+1は互いに逆数の関係にあるのでどうやら計算が合っていそうです。ようやくゴールが見えてきました…!

急いで(1)と(2)を終わらせましょう。

(1)
a/b=tとでもおくと、面積は2(t+1)^2/(t^2+1)となるのでこれの範囲を求めればいい。2+√2<△ABC≦4

(2)
まずt+1/tの値域を求めよう。これは容易に2≦t+1/t<2√2と出る。ああ、<2√2がここで出てきたな。これを面積に代入したら0<△ADE≦1と出てきた。ふー。

久々にこんなに頭を悩ませました。いつになっても受験数学って難しいね。





第3問 難度:D******

かかった時間:41分29秒

確率の問題なのでサクっと終わらせようかと思ったら、俺は今何をやらされているんだ…? と問いたくなるような謎の計算問題でした。
なお、合計時間が150分を遂に越えてしまいました。この年度は私には完答できません!

(1) 1/10000
(2)
要はこの問題は、下4桁が等しい2数が出てくる確率を求めよと言っているのです。N=10001の時は、1と10001は下4桁が等しいのでどちらかが出てくればOK、2~10000は下4桁が唯一無二なので連続で引かないといけないということです。

どうせ(3)で一般的な場合を求めるのですが、(2)ではひとまずp_10001だけを求めましょう。これは10001個のうちの9999個は連続で引かなければならないので(9999/10001)×(1/10001)、1と10001の2個はどちらかを引ければいいので(2/10001)×(2/10001)、まとめると

これが1/10000よりどれだけ大きいかを計算せよという問題です。

嫌すぎ。


もう、何をさせたいんですかねこの問題は。大きいか小さいかだけなら一般化した関数がこの範囲だと増加しているので瞬時に求まるんですが、いかほどの差があるかを有効数字1桁で求めよという謎の要求がされているので何とかして計算せねばなりません。
というわけで……

筆算しましょう。
幸い有効数字1桁なのでここまででいいです。0.0001との差を問われているのですから、丸めると1.0×10^(-8)になってくれることがもうわかるためです。

そこまで大変じゃなかった。

(3)
N=10000+xとしましょう。すると(2)と同じ考え方をすると、10000+x個のうちの10000-x個は連続で引かなければならないので((10000-x)/10001)×(1/10001)、残り2x個は2通りあるうちのどちらかを引ければいいので(2x/10001)×(2/10001)、まとめると

いちいち10000って書くのめんどくさいので今度からはaと書きます。
xは整数値ですが、とりあえず実数全体で定義されたf(x)=(a+3x)/(a+x)^2を考えて微分してやると、x=a/3で極大値であると出てきます。当然これは整数ではないため、実際のP_Nの最大値は近辺のx=3333 or 3334、つまりP_13333またはP_13334のいずれかとなります。最小値は端っこの1/10000なのでこれは容易に分かる。

さて、P_13333とP_13334の大小比較をせねばなりません。

まともにこんなのやってられないので、何とか工夫します。ちなみにあまりに嫌すぎて先に(4)をやろうとしたくらいでした。

まず値がどっちも小さすぎて比較が大変なので、僕は比をとりました。

これと1の大小を見ればどちらが大きいかは判別がつきます。これなら分子と分母を計算して数の大小を見ればいいだけなのでちょっと楽そう。
さらに楽をするために、数のカタマリをXとして簡単な式にすることを目論みます。どういうことかというと登場する数が3333×nにかなり近いので、X=3333として次のように置き換えます。

13333の2乗なんか計算したくないが、これの展開計算くらいならやってもいいかという気になってくる。展開計算すると…

もうお分かりでしょう。分子と分母がほとんど同じですが、X=3333>0なのだから、(分子)<(分母)つまりP_13334<P_13333であることが一目で分かります。というわけでP_13333=19999/(13333)^2が最大値であることがわかりました。うまく文字で置き換えることで、めんどくさい計算を回避することに成功しました。計算を工夫しないとこの問題は死にますw

(4)
ようやく普通の問題か?
イメージとしては、10000~20000の範囲ではそれぞれ1個しかなかった下4桁が2個に増えたのだから確率の上がり幅が大きいが、Nが10000の倍数になるたびに確率が1/10000にリセットされる。そしてその先は、例えば100個ある同じ数が101個に増えたところでさほど確率の上がり幅は大きくはならず、確率の変化を示すグラフの山は小さくなるだろう… ということ。

というわけで、N=10000m+n (0≦n≦9999) と表して、mを固定してnを変化させたときの確率について見ていきましょう。
まず最小値はmの値によらず常にn=0のときの1/10000なのは容易に分かるかと思います。最大値の検討ですが、これは(2)、(3)で考えてきたことを更に拡張して

こうなります。m=1で検算OK。
これをnを実数の範囲に拡張した関数を考えて微分してやると、n=am/(1+2m)のときに最大値1/a+1/{4am(m+1)}を取ることが分かります。当然n=am/(1+2m)というのは整数ではありませんが、今回はそれでも良いことにします。何故なら整数の範囲でnを動かしたときの確率の最大値というのはこれ以下であるため、n=am/(1+2m)での値がp_13333以下であるならば必然的に示すべきp_N≦p_13333も示されるからです。
さらにこの最大値はmに関して単調減少であることが見れば分かるため、m=2の場合 (m=1の場合は(3)で考えた) の最大値25/24×1/aつまり1/9600がp_13333以下であることを示せばよいです。

つまりこれを示したい。


変形して、19999×9600と13333×13333の比較。もう最後なので何も考えず計算しちゃえばいいでしょう。

19999×9600=(20000-1)×9600=192000000-9600=191990400
13333×13333<13500×14000=189000000

数に関する大雑把な感覚を持っておくとこういう雑比較でよくなるので便利です。

このような計算の工夫をしても (そもそも工夫のやり方を思いつくのに時間がかかるなどで) 40分以上かかったので、本当に骨の折れる問題でした。もしかしたら何も考えずに愚直に計算したほうが総合的に早かったのかもしれません。

電卓使えよ以外の感情が無い。