ぽぴれあの大学入試数学解説ブログ

2014年度東大数学113点のぽぴれあちゃんが受験数学を解いてイキるためのブログです

整数問題で整数係数の多項式を見たら定数項に注目せよ 【東工大AO2009-2】

例えばf(x)=x^3+6x^2-3x+14みたいな関数があったとして、x=2nならばf(x)は2の倍数になるし、x=7nならf(x)は7の倍数になるし、x=14nならf(x)は14の倍数になる。逆に例えばx=15nとか入れてしまうとf(x)は3の倍数にも5の倍数にもならないというそういうお話です。当たり前すぎるだろと感じるかもしれないが、実は整数問題においてこの事実が威力を発揮することがたまにある。

今回は2009年度東工大AO入試で出題されたこの問題を紹介しようと思う。


まず東工大AOってなんやねん。AOって「アホでもOK」の略か???wwとか言ってる一般入試至上主義の学歴厨のために簡単に解説しておくと、東工大AO入試とは2007年度よりスタートした数学がめちゃくちゃ出来る者のみを集めるための選抜であり、なんと5時間で4問の問題に取り組むという数学オリンピックもびっくりな選抜方法で本物の数強を厳選する入試である。 (実際には前半後半に分かれて2時間半で2問ずつ)
当然、そこで出題されるのは単純計算で1問に75分という恐るべき長時間をかけるにふさわしい難問たちで、一般の受験生には手も足も出ないような問題も多い。なお、この選抜により確かに数強が集まったが、ホントに数学しかできない奴らが集まって語学留年が大量発生したため、わずか5年で廃止となった。


さて、問題を見てみよう。この数列に素数がただ一つだけ現れるような初項c_1を2つ見つけろと言われている。一体どうすればいいのだろうか?
ここで今回のテーマを思い出していただきたい。漸化式の定数部分に注目すると-7とある。そして7は素数であり、c_1=7とするとc_2以降はすべて7の倍数になるということにお気づきかと思う。ということで答えの1つは7である。なんと一瞬で1つ見つかってしまった。
そして同時に「c_2以降がある一定値の倍数である」というものは7以外に無いということがわかる。例えばc_nが3の倍数ならc_(n+1)は3の倍数ではなくなるから。なのでもう1つの答えは別のアプローチから見つけなければならないのだなということがすぐにわかるのだ。

もう1つの答えはどうせc_1が素数なんだろうという決め打ちから色々試してみると、さっそくc_1=2であるならばc_n=8^(n-1)+1となり、ここで8^n+1=(2^n+1)(4^n-2^n+1)と因数分解できることによりc_2以降が合成数であることが分かる。これは難しいが時間がたっぷりあるのならば辿り着けなくはない。

というわけで答えは2と7である。他にもあるかもしれないが見つけるのが大変すぎるのでこれ以上の追究はしないでおく。

もちろんこの漸化式は実際に解けて、c_n=(c_1-1)・8^(n-1)+1となり、この形ならc_1=2の場合には気付きやすいかもしれない。だが、ひとたびこの形にしてしまうと逆にc_1=7の場合がぼけてしまう
最初の漸化式だけを眺めていたら割とすぐに気付けるのかもしれないが、この漸化式が簡単に解けてしまうばっかりに一度解いた後の形を見てしまうと思考がもうそこで固定化されてしまってc_1=7に気付けないということは有り得なくはない。やはりc_1=7は初手の第一感で直ちに見つけておきたい。
その第一感を鍛えるために日頃から整数問題で何の倍数約数を考えようかなというスタート段階で定数項に注目するという癖をつけておきたいのだ。

以上。