ぽぴれあの大学入試数学解説ブログ

2014年度東大数学113点のぽぴれあちゃんが受験数学を解いてイキるためのブログです

東大生物2023 やってみた

就職決まって、12月末から塾講師みたいなやつになることになりました。
というわけでついに本職受験数学とかいうキモいやつになるわけです。
本職なので遠慮なく受験数学 (18歳の人が命を賭けるやつ) について28歳にもなって上から目線で語ろうかと思います!

…と言いたいところですが、実はいま就職が決まるまでの食い繋ぎとして、家庭教師で生物を教えているというのもあり、教える側に知識が無いのは問題なので最近は2番目に得意だった生物をやり直していたりします。
将来的にもしかしたら教えられる教科が増えたほうがいいのかなとも思ってるので、ここはひとつ無謀にも今年の東大生物の解説でも書いたろうかなと思いました。

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まず生物ってどんな科目なのでしょうか? 暗記科目という印象が強いと思いますが、東大をはじめとした国公立二次試験は実は暗記だけの教科ではなかったりします。
受験における生物とはこういうことをする教科!

初見のテーマについての長文があり、そこで今新たに仕入れた知識と、教科書を読むなどの事前学習で頭に入れてきた知識を組み合わせて得られた結果について考察を行う。

生物ってこんなことしてるんですよ。だから実は突き詰めると現代文みたいなもんだって言ってる人もいます。問題を開くとまず数ページに及ぶ長文が受験生を圧倒してきますが、ここから必要な情報を抜き出してそこから話を組み立てるわけです!

これは受験数学と同じことをしていると僕は思っています。
受験数学も問題文で状況が提示されて、そこからわかることをどんどん考えていき最終的に問題の要求する答えに辿り着いていく。
生物でやることもこれと全く同じことです。言語的か非言語的かの違いでしかありません。
なので数学が得意な人は生物も得意なんじゃないかなと僕は個人的に思っているんですが、そんなこと言ってる人いまだかつて聞いたことも無いので実は僕の考えが間違っているのかもしれませんw


まとめると生物で必要なのは次の3つ

①事前学習で頭に入れてきた知識
②問題文から新たに仕入れた知識
③知識を組み合わせて思考する力

②は事前に得ることができないためここでは無視します。
実はこの中で一番重要なのは圧倒的に①です。思考は時間を掛ければ紡ぐことができても、知識は知らなければそこで終わりなので当然ですね。
①を強化するためには基礎知識を習得するためのワークブックや問題集を周回するのが一番です。教科書を眺めるのも良いです。
生物は難問から③が得られますが、①はほとんど得られません。物理選択者たちはなんか難系とかいう名前の分厚い問題集で我々を威圧してきますが、生物は難問から得られることは少なく、③の思考する力で「どういう思考をするか?」という大雑把な方向性が得られるにすぎません。それもそのはずテーマが基本的に今初めて見るものなのですから。
生物は基本的な問題をひたすら周回するべきなのです。

それでは実際どういう感じで問題を解けばいいのか?

というのを感じ取っていただければいいかなと思います。

問題はこっから適当に見てください。46ページからです。→

https://www.u-tokyo.ac.jp/content/400214510.pdf



第1問
まず読んでて嫌になってきます。
いきなり5ページに及ぶ長文と大量の図がお出迎えです。ぶっちゃけ生物選択者にとってこんなことは日常なので、実は特に気圧されることも無かったりするのですが、慣れてないとビビること間違いないでしょう。

A、B、Cの3問は実は完全なる知識問題です。この問題を解くのに長文をちゃんと読む必要は一切ありません。教科書に書いてあったことをちゃんと覚えてきていますか? ということを問うているだけです。
実は東大生物は10点分くらいこういう完全知識問題が出ます (60点満点) 。しかも東大生物の知識問題はそんな捻ったものはそこまで出題されず、教科書に書いてある内容を素直に聞いてくることも多いです。
素直だからこそ、生物選択者は皆このような問題を落としません。拾える10点は拾わなければなりません。

まずこの[文1]なるものはパッと見で空所補充と、下線部の「組換え」ってなんですか?という設問でしか使わなさそうなので読まなくていいということがわかります。
こんなもんまでまともに読んでたら日が暮れます。何なら生物選択者なら既に知っていることしか書いてありません。
文章が長すぎるので、読まなくていい場所を読まないことも重要テクニックの1つです。

A:
1,2:ヒトの染色体は23組46本というのは生物選択者というか人間としての常識です。
3,4:これも落とす人はいないでしょう。そう断言できるほど基本的なことです。
生物未履修者のために簡単に説明すると、減数分裂というのは配偶子を作るための特別な細胞分裂のことで、染色体数を1/2にするために (パパとママから半分ずつ引き継ぐので) 2度の分裂を行います。そうじゃないと子供の染色体が2倍になっちゃいますからね。
2度の分裂により、1個の母細胞から4個の娘細胞ができるというわけです。

B:
これも生物選択者にとっては常識レベルの簡単な設問です。
そもそも有性生殖自体、異なる遺伝情報を持つ配偶子が組み合わさることによって集団内に遺伝的多様性が生まれるという意義があります。
組換えが起こることで、パパとママの染色体がそのままやってくるのではなくちょっと変化するので、この遺伝的多様性がさらに増大するというわけです。

遺伝的多様性が生まれると環境変化に適応できるとか、進化が早くなるとか様々なメリットがあるのですが、20字以内とあるので生殖細胞の遺伝的多様性が増大する」だけ書いておけばいいでしょう。

C:
これも生物選択者にとっては常識レベルの簡単な設問です。
教科書に書いてある細胞分裂の進行過程をそのまままとめて説明するだけです。

細胞分裂というのは、まず分裂のたびにDNAが減っては困りますから、DNAを複製してから分裂するという過程を踏むのですが、このDNA複製や分裂にはそれぞれ準備期間というのが必要です。具体的には

G1期 (DNA複製準備) → S期 (DNA複製を行う) → G2期 (分裂準備) → M期 (分裂を行う)

とそれぞれの時期に名称がつけられています。
このうち、G1期、S期、G2期の分裂を行っていない期間はまとめて「間期」と呼ばれるのですが、今回は指定語句に含まれていないのでこれを書く必要はないでしょう。

残りの指定語句を見ながらどの粒度で説明をすればいいのかを調整していきます。
「DNA量」とあるので、S期にDNA複製によりDNA量が2倍になることを言えばよいでしょう。
「微小管」「分配」について、
M期になると紡錘糸が染色体を両極に引っ張り移動させることで、染色体が娘細胞に均等に分配されます。実はこの紡錘糸は微小管の一種なのです。
わざわざ微小管が指定語句になっているので、「微小管によって細胞って正しく均等に分配されているんだよ!」ってことをテーマにしてやるとよさそうです。

あとはこれを3~4行でまとめます。東大の解答用紙はだいたい1行35文字なので、120文字程度でしょうか。
染色体が赤道面に並ぶとか、紡錘糸によって両極に引っ張られるとかはなんと[文1]に書いてあるので、ここでの解答には不要かもしれない。ただ「両極に引っ張られる」のほうは書いたほうがいいかもね。

東大だからと言って怯える必要はありません。こと知識問題に関しては大体このレベルです。日頃から基本的な生命現象について説明できるようにしておきましょう。


D:
知識問題が全て解けてからが本番です。次の問Dはいきなり難問。
一見知識問題に見えますが、これは今仕入れた情報を用いて選択する問題です。
問題文に「組換えは姉妹染色分体を鋳型として用いる」とあるため、この姉妹染色分体なるものが細胞分裂期のどの時期に存在するのか? ということを考えましょう。
姉妹染色分体というのは教科書に載ってませんが、密かに50ページの真ん中あたりに注釈で説明が載っています。S期に複製される染色体のことを指すようです。
S期で複製されて作られるため、G2期と、M期で染色体が紡錘体に引っ張られるまでは存在してそうです。
ということは答えは(3)、(4)…?

実はこれは誤りです。

何がどう誤りなのかを書く前に、まず先の問題である問E、Fを見てみましょう。

 

E、F:
これらは実験をもとに何が起きているかを考察する問題です。
東大に限らず、国公立二次試験の生物ではこういう「初見の実験から分かることを記述する」ということが求められます。
この2問は実験の概要を正しく認識すれば解答が容易で、考察問題にしては易しい部類です。

では実験1とやらを見てみましょう。
遺伝子Xの有無によって実験の結果の違いから、遺伝子Xの役割を突き止める実験であることが読み取れます。

問Eは野生株のグラフにおいて細胞周期のどの段階の細胞が増加しているかを問うています。グラフを見るとDNA量に2つの山がありますが、ここで細胞周期のDNA量の関係のグラフを思い出しましょう。

2つの山がこのグラフの矢印で示した位置に対応しているというわけです。
問Eをよく見ると、細胞分裂期 (M期) の細胞の割合には差が見られなかったとあるため、それ以外の時期を見てみましょう。
明らかに2つ目の山が突出しているため、G2期の細胞が増加していることがわかります。

続いて問Fです。遺伝子X欠損細胞のグラフを見比べると、何も変わっていないように見えます。
何も変わっていないというのは細胞周期が止まっているということではなく、むしろ細胞周期が通常通り動いていることを意味します。
生物選択者は各段階の細胞数から、各段階がどれだけの時間がかかるかを計算する問題を解いたことがあるかと思います。その際に各段階の細胞数の割合は、かかる時間に比例するという事実を利用しましたね。
つまり通常通りに機能している細胞はいくら放置してもこの割合が大きく変化することがありません。

しかし今回の実験では細胞に放射線照射を行っています。[文2]の始めで書かれていた通り、これはDNA損傷を人為的に起こしたことを意味します。
リード文にはさらに「それに応答して、細胞周期の進行が止まる」とありますね。
にもかかわらず遺伝子X欠損細胞では細胞周期が通常通り進行してしまっているという現象が起きています。
対して正常な野生株では問Eで見た通りG2期の細胞が明確に増加しています。これはすなわち細胞周期がG2期で停止しているということに他なりません。
よって、遺伝子Xからコードされるタンパク質Xの役割は、放射線照射でDNA損傷が生じた細胞の細胞周期をG2期で停止させるということになります。


ここで問Dに戻りましょう。

まずこの問題で問われている組換えの意義とは? というのは[文2]に示されています。

なるほど、DNA修復のために組換えをしているわけですね。
問E、Fで見た通り、DNA修復が必要になった細胞はG2期で停止しています。恐らくここで組換えによる修復が行われていると予想がつきます。ということは…?

G2期の後にあるM期は答えとして不適切であることがわかります。
答えはM期を除いてG2期ただ一つ。答えは(2)だ!

実はこれも誤りです。

というのも、S期というのは
姉妹染色分体ができた瞬間終わるわけではないようで、これがS期終盤から存在する扱いなので、(4)も答えになります。なんだそれ!変態すぎるだろ!!

実はググればこの相同組換えにおけるDNA修復についての記事がいくらでも出てきて、そこにS期とG2期で行われると明記されているので、もしかしたらこれは教科書の枠を超えた知識を問うている発展知識問題だったのかもしれません。

正直、知らずに正答に辿り着くのは至難の業だと思います……。僕は余裕で間違えました。


気を取り直して先に進みましょう。


G:
これは単純なグラフなのですぐ読み取れるでしょう。またもや放射線によりDNAが破壊されていますが、これにより野生株のDNA合成量が遺伝子X欠損細胞のそれよりも少なくなっているということがわかります。
よって、タンパク質Xの機能はDNA損傷が生じた細胞の、S期におけるDNA合成の進行を抑制することだとわかります。
なお、
遺伝子X欠損細胞のDNA合成量も減少していますがこれは単純にDNAが破壊されたぶん減っているということだと思われます。

次の実験3ですが、これがこの大問最大の山場です。実験の説明だけで3ページに及んでおり、何をやっているかを正確に把握するのが一苦労です。
しかし1つ1つの設問については実は難しいことは問われていなかったりします。

 

H:
遺伝子に人為的に変異を起こした結果、タンパク質が正常に産生されなくなったと書いてあります。前後の文章が長いだけで、基本的な遺伝子突然変異と、転写のメカニズムを理解していれば回答は容易です。

配列置換型GFP-a遺伝子では変異後の塩基配列に終止コドンができてしまっています。
遺伝子の翻訳は開始コドンから始まり終止コドンで終わるのですが、本来終わる場所よりも手前に終止コドンがあるせいで、正常なものよりも短いタンパク質ができてしまっているため正しく産生されていないということがわかります。
欠失型GFP-b遺伝子はプロモーターが欠失してしまっています。遺伝子の転写はプロモーターの部位にRNAポリメラーゼが結合して初めて開始されるため、こちらはそもそも転写自体が開始されないためタンパク質が正常かどうか以前の問題です。

「タンパク質の発現もしくは構造異常の観点から」とあるので、これに注目して文章をまとめればよいでしょう。

I:
制限酵素N認識配列の部位を切断したいということですが、そもそも制限酵素ってなんですかということさえ知っていれば楽勝ですね。
制限酵素というのは特定の塩基配列を認識し、そこでDNAを切断するハサミのようなはたらきをする酵素だという理解をしている人が多いかと思います。
というわけで、制限酵素Nを認識する配列を切断したいのですから、制限酵素Nを持ってきてやれば良いに決まっています。制限酵素Nを細胞内に注入するなどで良いでしょう。

J:
制限酵素N認識配列を切断したのち、体細胞の組換えにより変異前の元の遺伝子に修復された状態の構造を選べというもので、これはもう単純に(6)です。
これ迷う要素あるか…?

K:

遺伝子Yの変異 (よくわからない名前がついていますが、そういう変異があるんだな程度に思っておきましょう) が組換え修復に与える影響を調べる実験をするために、どのような細胞を準備すればいいかを問うていますが…

↑これと同じことを、正常な遺伝子Yと、ミスなんたら変異をした遺伝子Yとでやればいいだけです。
マジで東大だからと言って難しく考える必要なんてないわけです。ここまで日本語さえ読めていればできるだろみたいな問題ばっかりです。

L:

DNA破壊が修復することなく、そのまま細胞分裂に入ってしまった場合何が起きるかを答えよという問題。
当然正常に機能しない細胞を放置していると有害でしょうから、そんな細胞は除去しなければなりません。某探偵漫画のアポトキシン4869っていう薬のおかげで生物選択者でなくてもなんとなく知ってる「アポトーシス」っていう現象が起きそうです。
10文字以内なので自信がなければ「プログラム細胞死」とかでもよさそう。

M:

実験4についてと書いてあるものの、実は実験4を読んでも解答に役立つ情報は何一つ手に入りません。
中心体が増えると何故染色体の数の異常が起きるかを自分で考えるのです。
問Cで書いた紡錘糸の役割を思い出してみましょう。紡錘糸は染色体を正しく分配し、分裂後の細胞の染色体数を正常に保つ役割を持っていました。
この紡錘糸を生成するのが中心体というのは基本的知識です。
すなわち、中心体が増えることで紡錘糸もいっぱい出てくるので、紡錘体 (M期中期にみられる全体構造のこと) が正しく形成されず染色体が正しく分配されないため、分裂後の細胞の染色体数がおかしくなってしまったということが予想されます。


以上。
最初に読む気がしませんと言いましたが、実はこういう問題文を読むだけでしんどい問題は、読めてしまえば中身は簡単と言うことが東大入試ではよくあります。
何故なら問題文の読解も設問も高難易度だと、誰も解けないからです。
この第1問Ⅰは文章量も問題数も非常に多いですが、難易度的には比較的易しく、点数の稼ぎどころです。ただし文章量に圧倒され、冷静な判断ができず問F,Gあたりを落としてしまうのが激痛です。この文章量には慣れておきましょう。

だから生物って現代文の問題だって言ったんです。
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続いて第1問Ⅱに移ります。Ⅱとはどういうことかと言いますと、東大の理科はなんと大問3問構成と言っておきながら、各大問はⅠ、Ⅱに分かれて実質6テーマを扱います。
また圧倒的文章量かよ…と気が重くなりますが、さすがにそこはバランスを取ってくれています。
文章は1ページ、設問は2問のみです。
膵臓」が読めない人のためにわざわざ注釈を入れてくれるほどに親切ですが、膵臓はこの問題を解く上において一切役に立ちませんw

N:
ここで東大生物みたいな「持ってきた知識」と「今仕入れた知識」を両方活用するタイプの試験に通じることなんですが、解けないと感じた時に「勉強不足による知識の欠如」で詰んでるのか、「今拾うべき要素を拾い切れてない」ことで詰んでるのかを見極めるのが重要かつ非常に難しいです。
今回遺伝子Yやタンパク質Yに焦点を当てて記述せよということが書いてありますが、我々にとってこのYというのは今初めて見た完全初見のものであり、正常細胞とがん細胞の違いについて我々が得ている情報は以下しかありません。


これが
我々が知っていることの全てです。後ろに「膵臓がんや卵巣がんが~」などと書いてある気がしますし、何やら重要そうな家系図が書いてありますが、こんなもんどうでもいいです。がんの発症年齢や場所が分かったところで、正常細胞とがん細胞の違いについて言えることが何もありません。

そして今挙げた文章を読んでも、これ以上Yについて分かることは何もないということに気付くことが重要です。あまりにそのまんま過ぎて実は活用できる複合知識があるのでは?などと疑問に思うかもしれませんが、ありません。
これ以上何も分からないということが分かることは思った以上に大事なのです。

何もわからないのですから、このまま書くしかありません。

正常細胞では一対の遺伝子Yの片方のみに異常があるためもう片方の遺伝子Yからタンパク質Yが正常に発現しているが、がん細胞では両方の遺伝子Yに病的な異常があるためタンパク質Yの機能が欠損している。

O:
遺伝の問題。ヘテロなんで表現型でYyとかで表されるやつ。
子どもには親から1/2で遺伝子が受け継がれるのは常識です。病的な遺伝子は1個しかなくて、それを2世代続けるので単純に1/4です。

これで第1問は終了です。
非常にヘビーな分量でしたが、設問自体は平易でした。
ただし東大生物は時間との戦いなので、平易な設問とは言っても時間との兼ね合いで取れたとは限らないところです。
もしこれが120分かけていいテストならば、D以外は正答したい。しかし現実はそうではなく、75分で片付けなければなりません。
第3問が比較的分量が軽めかつ簡単なのでこちらから先に解いておきたい。
第2問は分量軽めだが難易度が高く、時間をかけても案外点数が伸びづらい。
第1問は設問自体は平易であり時間をかけるほど点数が貰えるため、この大問に時間をbetできたかどうかが結構勝敗を分けそうです。


第2問
第2問は植物分野からの出題です。
わたくし、実は植物分野が比較的苦手で、結構自信がありません。

A:


知識問題ですが、珍しく難易度が高いです。こんなん知らねーよみたいなのが多いです。

(1) 形成層が師管と道管の間にあって、分裂を盛んに行う組織だというのは常識として知ってるとは思いますが、師管と道管自体が形成層から分化するのか? については正直知らなかったです。
なんなら師管と道管があり形成層が無い植物がある以上誤文だと僕は判断しちゃいそうですが、これ正文でした。僕は脱落です。

(2) 聞いたことないので調べてみたのですが、トウモロコシは確かに酸素不足により通気組織の発達が起こるらしいですが、イネはそうなる前に通気組織を発達させているので、酸素不足になってもすぐに対応することが可能とのこと。
事前対策か事後対策かに差があるんですねー。同じイネ科なんだからそこは同じだと思ってましたw
というわけでこれは誤文ですが、誰が知ってるんだこんなもん。聞いたことなさすぎ。

(3) コケ植物には維管束が無いので誤文。これは知らなくてもコケにそういうの無さそうなのでわかりそう。

(4) オーキシンは極性移動をするというのは知ってると思いますが、どこを通るかというのは怪しい人が多いかも。まあ道管って水とかだからこういうのってどっちかというと師管っぽいよな…ってなりそうなので曖昧ながらもなんとなく誤文って判断はできるかな。まあ師管でもないんだけど。

(5) 中学受験組にとっては常識なのでノータイムで正文と判断した人が多いと思いますが、世の中には例外というものがあり、たとえば木部の内側に師部を発達させる植物もあるようです。
そういった植物の存在も考慮すると誤文なのですが、東大側もこれを見落としていたようなので、両方正解という措置が取られたようです。一番簡単そうな選択肢が出題ミスなのが鬼です。

正直合わせた人は少ないんじゃないか?

 

B:

半分知識問題。要はどういう輸送法でスクロースが移動するかというやつ。能動輸送、受動輸送ってやつですね。

能動輸送→濃度勾配に逆らって移動させる。エネルギーを使う。
受動輸送→濃度勾配に従って移動する。勝手に動いてくれるのでエネルギーを使わない。

という違いがあります。

なお、エンドサイトーシス、エキソサイトーシスというのは細胞膜を通すのに無理があるほど大きい物質を通したいという時に起こる現象で、細胞膜がその物質を包み込んで取り込むことをエンドサイトーシス、物質を小胞で囲んで、細胞膜をそれと融合させて細胞外に放出することをエキソサイトーシスと言います。
スクロース程度の大きさなら関係のない話なので、これらは今回ダミーです。

というわけでどっちが能動輸送でどっちが受動輸送なのか?ということさえ分かればこの問題に答えることができます。

葉肉細胞でスクロースが作られ、それを師管が各部に運搬するという流れですから、葉肉細胞のほうがスクロース濃度が高く、受動輸送によって師部の細胞へ運ばれると考えるのが自然です。そのための通路として原形質連絡を持つというわけです。

では、原形質連絡が少ない種とはどういうことでしょうか。
原形質連絡というのは細胞どうしを繋げる連絡路であり、これがあると細胞間で効率よく物質の交換が行えて便利です。事実、スクロースの運搬に活用していると書いてありますね。
それが少ないというのは多いと不都合が起こるのでは…? すなわち、師部の細胞のほうがスクロース濃度が高く、原形質連絡が多いと逆流して大変なので別のルートで運んでいるという考えに至れれば、こういう種は能動輸送を利用してスクロースを運んでいるんだなと分かるかと思います。

なおこの問題、単純知識問題に見えてこのような考察を入れる必要があり、ノータイムで決断できるレベルの問題ではないため、簡単というわけではありません。

C:

葉肉細胞→師部の細胞とスクロースが移動したところで、スクロースオリゴ糖に変換されると糖輸送効率が上がるが、それは何故かという設問です。
文中に「原形質連絡の内径が細い」とあり、指定語句に「逆流」があるので、オリゴ糖になると原形質連絡を通れなくなるから逆流しなくなりその分輸送効率が上がるという点については大丈夫でしょう。
それだけだと字数も指定語句も足りないのでもう1つ要素が必要そうです。
「拡散」というのは均一の濃度になるように水溶液中の物質が移動する性質のことを指す用語です。これがポイントになりそうです。
スクロースオリゴ糖にならないと時間経過でどうなるかを考えてみましょう。スクロースが移動していくと師部のスクロース濃度が上がっていくのでこの拡散のパワーが弱まっていくことが予想されます。しかしここでスクロースオリゴ糖に変換することで師部のスクロース濃度が下がるので拡散のパワーが保たれるということです。

難しい問題だと思います。

D:

結構データが多いので読み取りに苦労します。幸い選択問題ですし、正文を1つ見つければいいらしいので見つけたらさっさと次に行きましょう。東大生物は時間との戦いなのです。

グラフをざっと見て、すぐわかることを考えていきましょう。
一番左のグラフでは果実を切除した分だけ根にCが貯まっています。真ん中のグラフでは果実を切除した分だけ根にデンプンが貯まっています。葉や茎には変化がないようです。
本来果実に行く分が根に留まっている…?
一番右のグラフを見ると、果実を切除した分だけ花が咲いているようです。果実がなくなったので花が咲くところからやり直しということですかね。

で、選択肢を眺めると関係ない話が多すぎてビビりますが、根に色々貯まってる分そりゃ重くなるでしょってことで (4) が正文っぽいです。というわけで(4)って書いて次行きましょうw

E:

続いて実験2についての考察問題です。なお、この実験2は実験1と独立ではありません。先ほど軽く考えたことはここで役に立ちます。
実験1で軽く考えたことを踏まえましょう。全切除で根のデンプン濃度が20%になっていて花が咲き乱れており、次の年に果実がたくさん実る。果実全生きなら根のデンプン濃度が0%になっていたので花は咲かず、次の年は果実なし…という流れが交互に訪れるのではないか? というのがグラフからも読み取れます。

そうなるように果実のグラフを描いていくと、1,3,5年目で最大値、2,4年目で0になるようなW字型のグラフが出来上がるはずです。
グラフの根拠についても、「図2-2より、根のデンプン濃度と翌年の着花数には正の相関があり、果実の総乾燥重量は花が咲いた分だけ大きくなるから」とかでいいのではないでしょうか。

F:

僕はこれ解いたあと答え合わせをしたときに、予備校の解答速報を見たんですが、ほとんどの予備校が間違えててびっくりしました。
選択問題なら東大も解答を出してくれてたので見てみたら僕の方が合ってた。僕の勝ちだな。

まずグラフ見てください

改めて左のグラフを見ると、根のデンプン濃度は全切除で20%、2/3切除で20%×2/3、1/3切除で20%×1/3になってるように見えますね。
どうやら根のデンプン濃度は果実量に対して直線的な関係にあるように見えます。
それでは右のグラフをご覧ください。全切除で花は1000咲いてますが、2/3切除で1000×2/3、1/3切除で1000×1/3咲いてますか? 全然咲いてませんね。
むしろ(2/3)^2や(1/3)^2で近似できそうな量です。2次関数的な関係にあると言えるでしょう。

これを踏まえて、果実の1/2を切除した際の流れを1年ずつ見ていきましょう。
また、着花数の最大値が1000なので、果実も元々1000あったとしましょう。

1年目:デンプン濃度は10%、着花数は1000の(1/2)^2倍で250となります。
2年目:花と果実は比例するとあるので、果実が250です。実質3/4切除と言ってよいでしょう。着花数は1000×(3/4)^2=560程度です。
3年目:果実560。0.44くらい切除してるので1000×(0.44)^2=200程度。大小関係さえ分かればいいのでこのへんは大雑把でいいです。
4年目:果実200。0.8切除なので1000×(0.8)^2=640程度。
5年目:果実640です。

ここで間違えて花の数について比較したら答えが真逆になって台無しです。果実の数を見ると2年目250>4年目200かつ3年目560<5年目640なので答えは(3)、(4)となります。
正しくグラフを読まず、直線的に動いていると考えてしまうと、(2)、(5)という答えになってしまいます。ただし限られた時間で正答させるのは難しく、そう答えてしまった人は多いのではないかと思います。

第2問Ⅰはこれで終わりですが、全体的に難易度は高かったかなと思います。
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第2問Ⅱに行きましょう。
窒素同化の問題です。僕はこの辺の理解が曖昧で、入試本番で爆死したのを今でも覚えています。

G:
人を舐めてんのかってくらい簡単です。電子の数を数えれば空欄7が「2」で空欄8が「6」になるのは誰でもわかります。
グルタミン酸がグルタミンになるのも教科書に載っています。窒素同化の単元を捨てていたとしても化学やってたら分かるので問題ないでしょう。

H:

恥ずかしながら自力では不完全な部分しかわかりませんでした。
葉、光環境というキーワードから光合成が絡むことは誰もが分かることでしょう。
僕は問Gの窒素同化の反応式に「ATP」があるため、「窒素同化の反応に用いるATPは主に光合成により産生するため」だと思っていたのですが、どうやら電子受容体であるNADPHも関係があるようです。とはいえ受験生レベルだとATPだけ書ければいいんじゃないか? ダメ?

(追記:冷静に考えたら光合成で合成されたATPってすぐにカルビン・ベンソン回路のとこで使うってのが基本なのでこれだと説明不足っぽさがありますね。
窒素同化の反応に用いるATPは、光合成の電子伝達系で生成されるため とかにした方がよさそうです。)

I:

知識問題ですが、またも嫌らしいです。ちなみに僕はまたも間違えましたw


どれがタンパク質かどうかなんて気にしたことねー!! あとフォトトロピンって聞いたことないんだけどこれ何? と思って調べたらオーキシンによる屈性に関わる光受容タンパク質らしいです。マジで初めて名前聞いたのでたぶん10年前は教科書に載っていなかったんでしょう。
(1)が違うのはさすがに分かる。化学式は知らないけどこれがアミノ酸が連なったものというイメージが無さすぎますw
(3)のフロリゲンは、花成ホルモンのフロリゲンの正体は実は以前から知られていたある種のタンパク質だったんだ! というコラムが教科書の片隅に書いてあった気がするのでこれは正文です。
(4)がわからない。いやジベレリンがどんな効果があるのかは知ってるんだけどそれがタンパク質かどうかわからん! ただフロリゲンと違ってこれがタンパク質だって話を聞いたことないのでタンパク質では無いのだろうというあたりをつけそうです。いいのかなこんなんで。
(5)なんですが、そもそも基本的に酵素はタンパク質で、補酵素はタンパク質ではないという原則があるので補酵素と書かれてる時点でタンパク質ではないとわかります。僕はうっかり忘れてて間違えましたw

というわけで答えは(2)、(3)です。

J:
グラフが10個ありますが、問Jで注目しているのは左上の2つのみです。
要は高い硝酸塩濃度によって地上部のほうがすくすく成長するようになるということです。
ここでリード文を読み直すとこんなことが書いてあります。

要はどういうことかというと、問Hでも似たようなことを書きましたが光合成速度と硝酸塩濃度は密接に関係するってことを言ってるわけですね。
あなたが植物の立場になってみましょう。あなたは成長パラメータを自由に割り振ることができます。パラメタは根と葉で、合計100ポイント振れます。
根にポイントを振ると例えば水をたくさん吸えます。葉にポイントを振ると光合成速度が上がり、窒素を効率的に利用することができます。しかしこの光合成速度は窒素が少ないとオーバースペック気味になって活かしきることができません。
となると、硝酸塩濃度が低い環境では葉にポイントを振るのはほどほどにして、十分なステータスになったら余ったぶん根にポイントを振るのが最適になりますね。何故なら葉に全振りしてもそれを活かしきることができないからです。
逆に硝酸塩濃度が高い環境では葉に全振りしてガンガン光合成速度をあげたくなりますね。

同じことを植物もやっているのです。硝酸塩濃度を上げると葉に成長ポイントを振って光合成速度を上げようとしているわけです。CO2を固定する「酵素」の合成に十分な量の窒素が得られる環境になると、植物は地上部にポイントを振って「葉面積」を広げ、「光合成速度」を高めて圧倒的成長ができるというお話です。

難しくて受験生当時の自分には分かる気がしませんw

K:
グラフさえ読めれば簡単な穴埋め問題です。
下側のグラフを見ると、地下部がバグってるとホルモンAが地下部に全くできず、地上部はバグっててもホルモンAが地上部に存在している。ただし両方バグってると全くホルモンAが生成されない…ということがわかりますね。

地上部と地下部、どちらか片方がバグっていても一応ホルモンA自体は生成されるようなので、生合成は地上部と地下部で行われ、また一番左と左から2番目を比較すると、高濃度の硝酸塩は生合成を促進させることがわかります。
地上部がバグっていても地上部にホルモンAがあるということは、地下部から送られているということに他なりません。逆に地下部がバグっていると地下部に全く無い状態になるので、地上部は地下部を助けてくれないということです。
というわけでホルモンAは地下部から地上部の方向へ移動します。
さらに、上下でグラフを見比べると、上のグラフの長さが下の地上部のグラフの長さと連動していることがわかりますね。というわけで地上部の濃度とより相関すると。
以上の結果から植物ホルモンAは地上部における成長を促進させるという作用を持ちます。

地上部で作用するのですから、地下部で生成されずとも地上部からわざわざ送り付ける必要がないというのも納得がいきますね。数学で検算ということをよくやると思いますが、生物だってこのような検証ができるんです。
ちゃんと順序立ててまとめれば解答は容易です。

以上。第1問よりも文章量は少ないものの、その分1問1問の難易度は高かったように感じました。
絶対取りたいのはD、E、G、Kの4問かな。
とにかく第1問が重すぎるため、わからないところは早めに切り上げてそちらに時間を割きたいところです。

第3問
なんと記述題が1題も存在せず、すべて選択問題という異例の大問です。
果たして難易度のほどは…?

A:
1は「生まれつき」なんですから自然抗体に決まってます。後半は知らない話だったんですが、T細胞に対応するものということで、B細胞免疫グロブリンと解答できるでしょう。逆にこれ、後でじっくり見直すとどんどん自信が無くなってきそうですw

B:
言ってる意味がよくわかりませんが、要は「3番目の文字がAだったら必ず表の右側にAが出てくる。〇か×か」みたいなことを聞いています。脳トレの問題です。

(1) 左から3番目の文字がAならば、必ず右側にAがある → 〇
(2) 左から3番目の文字がBならば、必ず右側にBがある → 〇
(3) 一番右の文字がAならば、必ず右側にAがある → 〇
(4) 一番右の文字がBならば、必ず右側にBがある → × (1行目からいきなり違う)

答え:(1)、(2)、(3)

終わり。

C:
B形で+がついている「アラニン」「グリシン」「セリン」に共通する性質を答えよということですがアミノ酸の側鎖の構造とか全く知らないのでわかりませんでした。
答えは(3)の側鎖の大きさらしいです。化学の問題だろこれ。

D:
A型活性をもつものがグリシンしかないのでこれで確定。B型のほうはアラニンのB型活性がめっちゃ強いのでアラニンっぽいです。
根拠として十分かと言われると怪しいですが、生物は時間が足りなさすぎるのでこれくらいのふんわりした根拠で先に進むしかありませんw

 

E:
条件を整理しましょう。
・基本的にAを持てばA型、Bを持てばB型、どちらも持たないOOの場合はO型
・ただしhhだと強制的にO型になる

まず選択肢が5個ありますが、O型の父親という時点で既に3つの選択肢が消し飛びます。
父親の血液型がO型であるのがそもそも(3)、(5)しかありません。
子どもはB型なのでBがどこにもない(3)は不適。必要条件だけで既に(5)に絞れてしまいます。

F:
1は開始コドン、2はアンチコドン、3はペプチド
4,5は知らなかった。キャップとポリAテールらしい。参考書に載ってなかったので10年間で範囲増えたのかな。
6~8は共生説についての話題。6,7は葉緑体ミトコンドリアで8が共生説。

僕は4,5知らなかったけどたぶん今の子らには常識なのかな。

G:
(1) bのグラフの3時間のところを見ると、明らかにウイルスmRNAのほうが少ないので正文
(2) aのグラフを見ると明確に感染前よりも減っているので正文。感染前のタンパク質はすべて宿主タンパク質ですからね。
(3)~(6)
グラフa,bを見て、文中に書かれているそれぞれのタンパク質について合計量×割合をして比較すればよいです。ただ、間違えてbのグラフの長さだけ見ても答えだけは合っちゃうのでみんな正答したことでしょうw

H:
リード文が結構難しいことが書いてありますが、要はペプチド1~5というやつが対照ペプチドに対して競争的阻害みたいなことをしているということです。HLA-1に親和性を持つペプチドほど、HLA-1をすぐ寝取って、対照ペプチドが「BSS!」つって泣き寝入りするっていうことです。
IC50というのはグラフに点線を敷かれているところのペプチド濃度を読み取ればよいです。比較すれば(1)(2)(4)が誤文なことは自明です。
(3)について、ペプチド1はずっと一定の値を取っているのでIC50がそもそも定義されないのでは? と感じるかもしれませんが、これは親和性が高すぎてこのグラフが示す範囲で既にカンストしてるだけで、IC50はもっと左側にあります。そこを見誤ると答えに辿り着けず、「2より4のほうが傾きが大きいから(6)か?」などという誤りを侵すことになります。
もし「ペプチド1は一定」と勘違いしたとして、本当にそうなのか?と疑う癖をつけましょう。こういうのは極論で考えればいいです。分子1個レベルでつけただけで100%阻害する強烈なペプチドなんて有り得ません。必ずどこかにIC50になる地点はあるはずです。
グラフの右側を冷静に見てみれば、1以外のペプチドも徐々にカンストしていることが分かるかと思います。グラフに描かれている範囲が世界の全てではありません。

というわけで答えは(3)です。

I:
IC50のペプチド濃度をグラフから読み取り、数値が当てはまるものの記号を答えるだけです。
対数グラフなので若干読みづらいですが、表の数値のオーダーがそれぞれ違いすぎるので同定は簡単にできるでしょう。cとhです。

J:
下線部を付されたところとコドン暗号表を見比べると、ペプチド2のアミノ酸はGLIT…と並んでいることがわかるため、aがペプチド2であることがわかります。
ペプチド1がどこかにあるとのことですが見つけるのに苦労します。ここは発想を変えて、ペプチド1のIC50が<1であることを思い出しましょう。消去法でbがペプチド1であることがわかります。

ちなみに、探していればペプチド1の翻訳領域も割とすぐに見つかります。 (61と書かれた場所の2個隣のAUGから開始)
IC50を見る発想が抜け落ちてしまっていても、こちらのルートからでも正解には辿り着けます。AUGってのが開始コドンなのは常識なので、それを手掛かりにした人なら割とすぐ見つかると思います。

K:
ペプチド1、2の翻訳領域をよく見てみると、なんとコドンの途中から読んでいるような? という違和感があると思います。
問題に示されているのはスパイクタンパク質Sの翻訳領域で、スパイクタンパク質Sはここに書かれている区切り通りに読まれるのですが、それだとペプチド1、2は生成されないということです。読み枠がズレているというのがこの問題のテーマ。

ペプチド1も2も、3n+1番目から読んでいるので、これら2つの読み枠は同じだが、スパイクタンパク質Sとはズレているということが書かれている選択肢を選べばよく、答えは(2)(3)になります。
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以上。間違いなく大問全体の難易度としては最も低く、何よりも記述が全くないというのが大きく、ここは点の稼ぎどころ。
(アミノ酸の側鎖さえ覚えていれば) 本番で満点も夢物語ではない大問だったのではないでしょうか。


終わったら80分かかりました。75分じゃ無理だよパトラッシュ…。
正直東大生物って時間制約があまりにも厳しいので数学なんぞよりもよっぽど地頭力勝負だと思います。
正直、もし制限時間が120分あれば50点取れる人はそこまで少なくはないでしょう。それを75分で処理しきってしまうスピードを持つ人が勝者になる分量はいかがなものかと思わなくはないです。最初に行った通り、東大生物ってホントに数学と同じ。思考力が完成してしまえば最終的に物を言うのは処理速度であって、やってることが言語的か非言語的かの違いでしかないんですよね。

予備校では大問1、大問2がやや難、大問3が標準と評価されていますが、大問1は圧倒的分量のせいで「やや難」になっているだけで、1問あたりの難易度自体はむしろ最も低いです。すなわちここで出来るだけ多くの問題を解答せねばなりません。完答難易度と点を稼ぐ難易度は全く違います。大雑把な1つの物差しだけで判断してはいけません。

確かに巷では「取れる問題から取れ!」みたいな戦略が跋扈しているので最も大変そうな大問1は後回しにしたくなりますが、それによって設問自体が難しい大問2に固執してしまうと待っているのは破滅です。

大問1と大問2の「やや難」はそれぞれ意味が違うということを理解するべきです。
こういうの、東大側もさすがにバランス調整して、配点が20点×3ではなく24点、18点、18点みたいに傾斜配点してくれます。僕の年もそうだったので。

というわけで今回は終わり。また気が向いたら別年度のやるかも。