ぽぴれあの大学入試数学解説ブログ

2014年度東大数学113点のぽぴれあちゃんが受験数学を解いてイキるためのブログです

2001年度 東工大後期数学 やってみた

ようやく折り返し地点か?

第1問 難易度:C

勘がいい人だと(1)の不等式を見た瞬間、ああa_711あたりでπ/2+nπを跨ぐんだなということが分かるかなと思いますw

(1)
不等式の証明は辺々引いて>0を示す! ……としたいところですが、見るからに近似精度がかなり高そうで、πの値も8桁くらい与えられています。
たとえば11-4979π/1422>0っていう条件が出てきたりするのですが、これにπ=3.14159265…を代入するぞ! とすると何桁まで代入すればいいのか分かったものではないため、できることならπはπのままで処理したいところです。

というわけでさらに同値変形を繰り返し、πと分数の比較の形にしてやり、分数のほうを計算することにしましょう。これなら割り算を行っていく途中、πとの大小関係が明らかになったところで計算をやめればいいだけなので圧倒的に労力が削減されます。

(2)
(1)の不等式が表しているのは、11=7π/2+微小 であるということ。すなわち

11=7π/2+微小 → 第4象限
22=7π+微小×2 → 第3象限

であることがわかり、tan11<0<tan22であると結論付けられます。

(3)
11=7π/2+微小 → 第4象限
33=21π/2+微小×3 → 第2象限
55=35π/2+微小×5 → 第4象限
……

という形で、単位円でいうπ/2、3π/2とのずれがどんどん大きくなっていきます。というわけで…。

こんな感じ。反対側にあるとわかりにくいので、+πして同じ側に来てもらいましょう。tanの値は角度を+πしても変わらないのでこれでいいです。
そうなるとa_1、a_3、a_5…を表す点は単位円でいう-π/2≦θ≦π/2部分に順に並んでいきます。そしてこの微小ってのはπ/709よりは小さいことがわかっているのでそれが709倍されるa_709まではy軸 (π/2) を跨がずにその手前にいます。当然この区間においてtanは単調増加していきます。

(4)
今まで「微小」と呼んできたものがπ/711よりは大きいため、a_711において遂に単位円でいうy軸を飛び越えてしまいます。こうなるとtanが負の値を取るため当然a_709>0よりも小さく、単調増加ではなくなってしまいます。

以上。これらのイメージをあとは数式で表現してやれば答案が完成します。
面白い問題だと思いました。



第2問 難易度:C


2つの点が動き回った時の三角形の面積の最大値に関する問題です。変数が2つなんだからこんなもの偏微分を使うしかないだろと思いがちですが、めんどくさそうなので他の方法がないかを検討してみます。

まず、Aを固定してBだけ動かしてみた時のことを考えましょう。

そもそもaとbの大小関係すら不明ですが、ここはとりあえずAが外側にあるとしています。あとミスってCを大円上に書いてますが、まあ別にこの後の議論にあんまり関係ないので無視する方向で。
このときBは小円の周上をぐるぐる回るのですが、どこにBがある場合が最大値になるのでしょうか。

はい。ACを底辺と見た時の高さが最大になるようにすればいいのですから、直線ACから最も遠い点である、中心を通る垂線との交点 (遠いほう) にBを取ればいいことがわかります。
ということは最大値を取る場合というのはAC⊥OBを満たしているはず。いま、その場合にB(bcos4π/3、bsin4π/3)であると書いてあるのでOBの傾きはtan(4π/3)=√3であることがわかっていますから、ACの傾きは-1/√3であると分かります。
C(1,0)を通るので直線ACの式はy=-1/√3・(x-1)で、これがAを通ることから未知数aが求まります。

そして、同じことが直線BCと点Aとの関係にも言えます。同じ原理でOAの傾きがtan(3π/4)=-1であるからBCの傾きが1であり、つまりBがy=x-1上にある。未知数bもこれで求まります。

なんと、微分という超高等技術を一切用いずにa,bが求まってしまいました。図形的な考察は役に立ちますね。
これで(1)は終わり…?

いいえ、まだです。これはまだ必要条件ですから、十分性の確認をせねばなりません。というのも、最大値を取る場合がAC⊥OBかつBC⊥OAを満たすというのはそうなのですが、それを満たすA,Bの組がコレに限るとは誰も言っていない。他にもこの2つの垂直条件を満たすA,Bの配置があるかもしれないからです。
ただこれが本当に難しい。実戦的にはもう妥協して(2)を解いて、時間が余れば取り組むくらいでいいかと思います。

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三角形の垂心… だからなんなんだ…? と、僕の力では図形的なアプローチに限界を感じたため、どうやら結局 A(acosα、asinα)、B(bcosβ、bsinβ)と置いて考えるしかないのでは? という話になってきました。えー…。

アイディア募集。

……

とりあえず式で頑張ってみる。


おお、なんかシンプルそうな条件が出てきたぞ!?

…と思ったけどこれどうやって解くんだw なんかシンプルそうに見えて一般的に解けません。
しかし比を取るとb/a=cosα/cosβであり、具体的にb/aを計算すると√2になるので、cosα=√2cosβという関係式が出ます。勝ったか!?

はい嘘です。結局cos(β-α)というところがシンプルに見えてめちゃくちゃ難しいです。だってバラすとcosβcosα+sinβsinαなのでcosで完結しないんです。sinってのが出てくると平方根出てきますからね。

実はb/a=cosα/cosβであるということはAとBのx座標が等しいということを意味するので、ここから図形的考察にシフトすることも考えましたが、やっぱりよくわからんのでパス。

ところで面積最大の場合について考えてるので、AとBは対辺と原点に対して反対側に無いと最大にならんのでx<0の範囲にあります。またAとBもx軸に対して反対側にあるはずなのでπ/2≦α≦π、π≦β≦3π/2とします。
すなわち今後はcosα、cosβ≦0、sinα≧0、sinα≦0であるとします。
さらにcosα=√2cosβであるということは|cosβ|≦1/√2を意味します。そうじゃないとαが存在しなくなるからね。

すると
sinα=√(1-(cosα)^2)=√(1-2(cosβ)^2)、sinβ=-√(1-(cosβ)^2)
になるので、cosβ=xとおくと

これを解けばよい!
アホか? 解けるわけないだろ。

分母がキモいのでひっくり返す。(x≠0)



どうすんだこれ…。

解き方は分からんが、ここは解が唯一であるか?ということを知りたいので微分してグラフの概形を知ることができれば、解の個数自体は出せそうなのでそれで何とかなることを信じます。右辺をf(x)としましょう。

ヤバそうに見えますが、幸いにして-1/√2≦x<0において2x-1/x^3>0であるため常にf'(x)>0!
というわけでめでたくf(x)が単調増加であることが示され、f(-1/√2)=-1、lim[x→-0]f(x)=+∞であるため、中間値の定理からf(x)=1/a=(√6-√2)/2の値をとるxはただ一つであることがわかります。
それがx=cos(4π/3)であることは既に分かっているので、これが最大値であることが確かに示されます。

つ…… 疲れた……。
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(2)
外接円の半径を求めろと言われたら正弦定理というものがありますから、角のsinと辺の長さが分かればよろしい。
座標が全て判明している以上、辺の長さは容易に計算可能なので、角のsinを考えることになります。

図です。どこの角度が一番求めやすそうか?
圧倒的になんかCっぽいですよね。

で、(1)でa,bを求める際に垂直条件うんぬんを利用したときに考えましたが直線BCの傾きが1、直線ACの傾きが-1/√3であることを思い出しましょう。
tanの値がこれだと角度は具体的に求まり、BCとx軸とのなす角は45°、ACとx軸のなす角は30°です。
ということは角Cはこれらを足した75°になるはずです。


これで角が求まったので外接円の半径は

1/2×AB/sin75°

で求まります。sin75°の値は常識ですが、もし知らなくても30°と45°で加法定理すれば済む話です。
ABの長さなんですが、さっきチラっと言ったようにAとBのx座標が等しいので (図は全然等しくないけど) 、y座標の差をそのまま持ってくればOK。

気付けばかなり計算量が軽減されるタイプの問題です。


今回めちゃくちゃしんどかった。つーか遂に60分で終わりませんでした。実戦だと2(1)の十分性は妥協の方向で。