ぽぴれあの大学入試数学解説ブログ

2014年度東大数学113点のぽぴれあちゃんが受験数学を解いてイキるためのブログです

京大数学2024 やってみた

解法暗記勢を殺しに来てるから難しいんじゃないかな。

第1問

かかった時間:12分22秒

(1)のほうが難しい。
この手の色塗り問題は1度は経験した人が多いと思うが、大昔過ぎて忘れていたという人も多いはず。

6か所塗るなら2回以上使う色が出てくるが、隣り合ってはいけないので対面に塗るしかない。ということは2,2,1,1か2,2,2,0しかない。

(i) 2,2,2,0の場合
3面を違う色で塗る確率が3/4×2/4=3/8。それぞれの対面が同じ色ということで1/4ずつなので(1/4)^3を掛けて3/512。

(ii) 2,2,1,1の場合
2,2,2,0の場合から任意の1面を選んで違う色に変えればいいと考える。その面を3色のうちどれにするかで3倍になるので9/512。

(i)、(ii)より3/128。

他にも、
・まず隣り合う3色を決めてから (3/8) 残りの3色の組み合わせを数え上げる (64通り中4通り)
・全部区別しちゃって全体4^6通りから条件を満たす場合の数を気合で数え上げる

などがある。

(2)
100万色くらい用意して塗ることを考えれば滅多に同じ色が塗られないので極限は1?と予想がつく。
確率というものが1以下なのは自明なので、下からはさむものを適当に決めればいい。
これは全部違うものが塗られる確率などが挙げられるが、僕はパッと思いついたのが隣り合う面が違う色×6C2。まあとりあえずp_nより低くて1に収束するものならなんでもいい。
模範解答通りのものを持ってくる必要はどこにもない。

もちろんp_nを実際に求めても問題ないが、極限なので厳密なp_n自体は求めなくてもいいという感覚は持っておきたい (第5問では求めさせられるが…) 。

第2問

かかった時間:7分6秒

z=a+biとして
(a,b)=(4,3)+1.5(cosα+sinα)+t(cosβ+sinβ)で|t|≦2だから半径2.5の円-半径0.5の円になって面積6π。

複素数平面未履修勢だから定石はよく知らんのでノーコメント。

第3問

かかった時間:13分59秒

「ねじれの位置」とかいう、中学校以来3年ぶりに聞く言葉をどう処理するかが全て。

ねじれの位置 ⇔ 2直線が同一平面上にない

4点が同一平面上にないと同値になるので、たとえばPQベクトルとPXベクトルの和でPYベクトルが表せないなどの方針が考えられる。

直感的には中点連結定理からPQ//OBがまずわかり、定義からX,Yが平面OBC上にあるのが明らかなのでQYとPXが同一平面上にあるためにはXY//PQつまりXY//OBのときのx=yなのだろう (つまり答えは逆のx≠y) ということで予想がつけられるが、幾何的に厳密に証明するのは大変。
(そもそも ねじれの位置 ⇔ 4点が同一平面上にない すら自明ではない)

論証の厳密性が怪しいくらいならカッコつけずに「平行でない&交わらない」の定義をそのままベクトルで処理したほうがいい。


第4問

かかった時間:16分30秒

コラッツ予想が題材。a_nが偶数の時の漸化式はなんと使わないので無視してよいw

(1)
最悪1~15まで書き出せば解答できるので落としてはならない。

(2)
むしろ(1)をゴリ押した人のほうが解けるかもしれない。a_kまでが奇数であるような最小のa_0は1,3,7,15と推移していくので「もしかして2^(k+1)-1?」という予想が立てられる。
それをどう示せばいいんだよという話になってくるが、さらに考えてみると「a_0+1が2で割り切れる回数=a_kが偶数になる最小のk」という事実に辿り着ける。
ここまで示すべき命題が明快になればできるはず。

いきなりa_(n+1)+1=3/2・(a_n+1)は気付けると秒殺できるが、なかなか盲点なので気付きにくい。模範解答はどうせこう書いてあるけど、実験→予想→論証のアプローチができるようになっておきたい。


第5問

かかった時間:22分13秒

性格が悪い問題。
まず40点と書いてあるので、5か6をどちらかは取りたいと感じる人は多いと思うが、パッと見で積分するだけでよさそうな5と、なんだかよくわからない6との2択なら多分多くの人が5に取り組むだろう。しかしこの5は本年最難関の問題である。

(1)で「xでの積分だったらめっちゃ簡単なのに!!」と涙を飲んだ受験生数知れず。
というか(2)だけならxで積分してはさみうちすれば秒殺なので、むしろ(1)が邪魔である。
そして(1)を解いてから(2)を考えると、S_aの形に気を取られてこの秒殺ルートに気付きづらいという罠が張ってある。

(1)
そもそも双曲線関数というテーマ自体、上位層とそれ以外とで経験値差がありすぎるので知識問題に片足突っ込んでる。
逆関数を求めてyについて積分するルートを取った場合、逆関数を求めることも、それを積分することも経験が無いと非常にハードルが高い。そもそも2つの関数が似ているので、プラスマイナス間違えて値が定数になってしまったとかそういう事故が多発する (1敗) 。

(2)
S_aの形がキモすぎるのでまっすぐ行くとしんどい。というか普通の層にこれを処理しきるのは無理である。
logx/x→0を利用して (※証明が要るかも) 、√含みの式の逆有理化も駆使して何とか整理できるが、京大らしからぬ作業量の多さに手が止まってしまった人も多そう。
最初に述べたように(2)だけ出題されていたほうが正答率が高かったかもしれない。

第6問

かかった時間:15分2秒

k桁の数は10^(k-1)≦n<10^kの範囲にあるので、これで常用対数をとればlognの整数部分がそのまま桁数-1になるのだ! という常用対数で桁数を求める問題の原理が理解できていれば、LnもNnもだいたい求めることができるため、はさみうちの原理で終わりという人によっては典型的な問題。

というか10の累乗ではさめるかどうかしかポイントが無いので、逆に書くことがない。


おわりに:
最上位層 (東大数学5完安定レベル) って京大数学は30~60分くらい時間が余るのが普通なので、彼らの感覚を真に受けてはいけないし、逆にこの辺の層が難易度を語ってはいけないと思います。なので僕も難易度についてはノーコメントで。