ぽぴれあの大学入試数学解説ブログ

2014年度東大数学113点のぽぴれあちゃんが受験数学を解いてイキるためのブログです

2004年度 東工大後期数学 やってみた

あと8回。

第1問 難易度:C


こ…… これは2022年度共通テスト数学1Aに出てきた完全順列……!
まさかここでお目にかかれるとは…。

(1)
書き出せって言われてるので書き出しちゃいましょう。

もうこれ改めて解答書かなくていいか?

(2)
2022共通テストでの方針は「元の位置に来たものの個数1~n個で場合分けし、全体n!通りから引く」という余事象の考え方でした。
今回の漸化式はその考え方から得られたようなものではないように見えます。n!が入ってそうな要素が無いですからね。

とりあえず漸化式全体にかかっている係数n-1というのは、場所1に来る2~nまでのn-1通りはそれぞれ対称であるからついているのでしょう。
というわけで、場所1には2が来るとして、残りn-1個の並べ方がD(n-1)+D(n-2)で表されるということか…。

ここで、場所2に1が来た場合は場所3~nにおいて3~nを並べることになりますから、確かにD(n-2)通りであることがわかります。ということは残りは

場所2に1以外が来る場合の並べ方がD(n-1)通りとなる。

ということを示せばよいことになります。
ちょっと悩みましたが、これがD(n-1)であることはよくよく考えれば自明なのでした。何故なら今の制約は
場所2に1が来てはいけない、場所kにkが来てはいけない。
であり、元々のD(n-1)を表す
場所2に2が来てはいけない、場所kにkが来てはいけない。
というのと場合の数が変わるわけがないのです。1と2の違いはありますが、1だろうが2だろうが場所k (k≧3) にとってはその場以外であることに変わりはないためです。

というわけで確かにD(n)=(n-1)(D(n-2)+D(n-1))が示されました。




第2問 難易度:D

え、これDなの? めっちゃ普通の問題に見えるんだけどな…。
もしかしたらめちゃくちゃヤバいのかもしれません。やってみるか…。

(1)
nが偶数なので、y=x^nはx<0で単調減少です (放物線によく似たグラフ)
y=n^xは指数関数なのでx<0では単調増加です。
x=-1とx=0で大小関係が変わることから、この間に唯一の交点があります。

(2)
まずx=nが自明解としてあります。それ以外の解を探したいところですが、f(x)=x^n-n^xとでも置いてもf'(x)=nx^(n-1)-n^x・lognとなりイマイチ上手くいきません。
ここは1991年東大後期のこの問題から発想を頂戴します。

x^n=n^xという等式はx,n>0の条件下ではlogをとって同値変形ができるため
nlogx=xlogn
logx/x=logn/n と同値になります。
というわけで関数logx/xのグラフを描けばよさそうです。

グラフが絶望的に汚いですが、だいたいこんな感じになって、x=nのときと同じyの値を取るxが他にも1個あることがわかります。 (n=2の場合はn<eになるがまあ左右が変わるだけで同じこと)
というわけでx>0の範囲にx^n=n^xなるxは2つあることが分かります。
(1)でx<0の範囲に1つあることが示されていて、x=0は解ではないので全部で3個あることがわかります。

ところで僕はこの問題を知っていたからこうやって思いつくんだけど、無から思いつくにはどうすればいいのだろうか?

(3)
(2)で使ったlogx/xのグラフはそのまま使えません。何故ならx>0という条件下でないとlogをとるという行為が許されないからです。x<0の範囲での解について言及するとなれば別の方法を考えねばなりません。

ここでx^nが偶関数であることから、x^n=(-x)^nとなることに気付けば、x<0においてlogを取れるようになります。

log(-x)/x=logn/n

を満たすxの値の行く末を追えばよくなります。
というか新たにグラフを描くのが面倒なので、y=n^xをy軸対称に移動してy=n^(-x)にしたほうがよさそうです。この場合は
logx/x=-logn/n
の解を追います。というかこっちの方が簡単ですねw

n→∞になると、-logn/nは負の方向から0へと近づいていきます。これはすなわち解の座標は(1,0)へと近づいていくことを意味します。y軸で反転しているので本当は(-1,0)なのですが、ともかく極限の位置は(-1,0)であることがわかります。

答えはこれでいいのですが、記述をどう書くべきかが問題です。f(x_n)=-logn/nなるx_nを考えたとき、グラフから0<x_n<1を満たしかつn→∞でf(x_n)→0となるので関数の連続性からx_n→1であるって感じで書けばいいのかな。
高校数学はある程度の厳密性を犠牲にして極限や積分の概念を学習しているというのに、解答を書くときはその定義内で厳密に論証せよと言ってくるのでよくわかりません。

よくよく考えたらlogx/x→0って自明じゃないので、時間やスペースが余ったら示しといたほうがいいかもね。さすがにe^2>4くらいは自明ということにさせてくださいw
この辺の簡易証明はあらかじめストックしておくと便利です。