ぽぴれあの大学入試数学解説ブログ

2014年度東大数学113点のぽぴれあちゃんが受験数学を解いてイキるためのブログです

1995年度 東工大後期数学 やってみた

1990年度のものに重大なミスがあったため、今度からはサボらずにちゃんと解答を書こうと思います。

第1問

一瞬立体図形の問題に見えますが、なんのことはないただの図形版無限等比級数の問題です。
立方体、球と対称性が高い図形しか出てこないため、一方向から見た平面図を書けばそれで事足りそう。
で、何かに接する円が出てきたら接点と中心を線で結んで直角を作り、三平方の定理なり円に関する何らかの定理なりを使って話を進めるのは中学生の頃からの常識ですね。

という考えのもと、こういう図を描くと破滅します。

というのも、この球は立方体の隅のほうにできていくからです。下の図で言うと、とりあえず対称性から上と奥と右の3つの面に接するようにできるとすれば、奥のほうにできていくから真横から見た図を考える時の切り口から離れていくわけですね。


ごちゃごちゃするから肝心の球は省略してるけど許して。

というわけで斜めに切った断面を描くとこうなるはずです。

上下以外の立方体の面に対して斜めに切っているので、球の断面である円も上面と、前の円以外には接しないということに注意です。球の中心が対角線上にあるというのは対称性から半分自明みたいなものなのでいちいち証明しなくても減点は少ないでしょう。時間が余ったなら簡単に書く程度の優先度でいいかと思います。

直線に接する円列の半径の求め方は1度くらいは経験があるかなと思います。相似を使って1:√2:√3の直角三角形ができるので、r_nとr_(n+1)で辺の長さを表してやれば漸化式が立てられます。


整理すればr_(n+1)=(2-√3)r_nとなり、初項r_0=1なのでr_n=(2-√3)^nとわかります。

(1)ができれば(2)はサービス問題です。定義から球列に共通部分が無いので体積の無限和を立方体から引いてやればよいだけです。ただの無限等比級数なので計算も難しくありません。




第2問

出ました2次曲線。個人的に2次曲線は嫌いな分野です。何故なら大抵計算がダルいからです。僕は計算が嫌いなのです。 (なので数ⅢCが最後まで苦手だった)

(1)は実は準円といって、2次曲線について直交する2接線を引ける点の軌跡は円になることが知られています。これの答えがx^2+y^2=a^2+1となることは人によっては既知の事実ですが、それを示せって問題なのでドヤ顔で準円に関する話を書き綴っても恐らく点は来ません。

(12/30追記: 同値変形が怪しかったので修正)

この手の問題では接線の傾きをmとして、y=mx+nとでも置くのが基本中の基本です。もちろん軸平行の接線については別に議論してやる必要があります。

楕円上の点が(acosθ、sinθ)とおけるので~ という話は今はすっこんでいましょう。接点についての情報が何もないため角を表すパラメータを2つ置く必要があり、逆に面倒になります。
直交条件の話をしているので、傾きの積=-1という条件を楽に処理するために、接線の傾きを置くのがやりやすいというただそれだけの話です。

また、楕円なのでx軸方向にa倍拡大して円に直すとかやりたくなりますが、相当慣れていない限りはやらないほうがいいでしょう (僕はできなくはないけど慣れてないので時間がかかるw) 。

とりあえず今は接線が軸平行でない場合のことを考えるとして、軌跡上の点をP(X,Y)とおくと、2接線がy-Y=m(x-X)、y-Y=-1/m・(x-X)とおけ、これがともに楕円に接するようなm(≠0)が存在することがP(X,Y)が満たす必要十分条件です。
まず接するという条件をなんとかしないといけませんね。これは直線の式を楕円の式に代入してyを消去してやれば、xについての2次方程式が出てくるため、これが重解を持つこと⇔接するとなります。つまり判別式=0と同値です。
ちなみに、一般に曲線同士で重解を持つことと接することは同値ではない (円と放物線の例が有名) ですが、幸い「多項式同士」と「直線と2次曲線」なら同値になりますから、今回ここは気にしなくていいです。

ちなみにX,Y,x,mとアホほど文字があるので、これ何がどれだったっけ? って混乱してきませんか。僕は高3の夏くらいまではしていました。というか高1で物理挫折した理由は大体これだった気がします。

ど…どうするんだっけ… (慣れないうちあるある)

改めてやってることを整理すると、この判別式=0というのでmが満たすべき条件が出てきます。このmが存在することが必要十分条件というわけです。
2直線について議論しているので式が2つ出てきますが、一方はm→-1/mと置換するだけなので、わざわざ面倒な計算を2回もする必要はありません。

mについての2次式が出てきて、mの存在条件と言っているのですからまた判別式か! と思いたくなりますが、今回これは必ず>0になります (計算が鬼のように面倒なので時間の無駄ですw) 

そもそも式が2つ出てきているわけですから、この2つの連立方程式を同時に満たすmが存在するための条件を言えばよいという点に注目します。実は1つの式だけを計算して、解の積=-1を言っても良かったのでした。これは別にどちらでもよいです。
というか1つの式だけを計算しての解と係数の関係のほうが楽なんだけど、こっちのルートで来た場合は(下の式)×m^2+(上の式)をして因数分解すると(2次の係数)=-(定数項)がいえる。

出てきた条件は円x^2+y^2=a^2+1になりますが、まだこれは必要条件ですから実数解m (≠0) の存在を言わねばなりません。軌跡・領域の分野はやたらと式変形で同値条件が崩れやすいため、この十分性をケアするのは絶対です。mの存在そのものについては、判別式>0が常に成り立っているので、これを言えばOK。
式が恐ろしく面倒ですが、(2次の係数)=-(定数項)という条件が追加されているのでこれを利用するとちょっと楽になる。

2次式じゃないとそもそも解が2つ出てこないため、2次の係数=0になる場合、すなわちX=±aの場合はmが存在しないということがわかります。これを書き忘れると大減点必至です。

ではX=±aの場合はどうなるかといいますと、最初に除外した軸平行の接線が引ける場合に埋まるので結局求める軌跡はx^2+y^2=a^2+1全体となります。




(2)
パップス・ギュルダンの定理を知っていれば一瞬で求まります。
これは回転体の体積は重心の移動距離×面積で求まるという定理なのですが、対称性から重心は原点なのが自明なので移動距離は4aπで、面積も(a^2+1)π-aπとすぐ求まるので答えは4a(a^2-a+1)πです。
証明はバームクーヘン積分の公式 V=2π∫xf(x)dx というやつに(重心のx座標)=∫xf(x)dx/∫f(x)dxという定義をぶち込むだけなのでバームクーヘン積分の公式を示せばいいです。なのでそれを知っている人はそれでもいいでしょう。
ただ、きちんとした証明ができるならいいですが、高校数学で触れるような簡易的証明だと厳密性に欠ける部分があったりして減点される恐れがあります。
というかいちいち証明を書いていると、この公式により速く答えが求まるというメリットが薄まるので、ちょっとでも怪しいなと感じたら答えの値だけはあらかじめ出しておいて、答案には普通の(?)やり方を書きましょう。

y=tで切って、楕円を回した空洞部分を通ってるかどうかで場合分け。

回転体の基本は((一番遠い距離)^2-(一番近い距離)^2)πです。あとは計算するだけ…なのですが、工夫するとなんと一切積分計算しなくてもよかったりします。
それもそのはず円を表す関数ばかりを積分することになりますから、当然積分結果が円の面積を表すものばかり出てくるため、それを利用すれば積分結果はすぐ出てきます。


今回は色々知ってる人にとっては答えが一瞬で求まる問題ばっかりでしたが、こういう時は論述の不備が致命傷になるものです。僕はわりと直感的・算数的に考えるタイプなせいで、正直このへんの論証の厳密性に全く自信が無いです。そのためあくまで参考程度ということで……。