ぽぴれあの大学入試数学解説ブログ

2014年度東大数学113点のぽぴれあちゃんが受験数学を解いてイキるためのブログです

1991年度 東工大後期数学 やってみた

シリーズ物を続けられない病気にならないように、早めに更新していきます。なんせ1990~2011までありますからねコレ。

というわけで今回は1991年度です。

第1問

(1)
解けないと東工大受けちゃいけないレベルですw
まず最高位の数字は0がダメなので1~9の9通り、次の位の数字は前の数字と違うものを置けばいいので以降9通りが続きます。
n桁なので9^n通りです。よってa_n=9^n

(2)
直感的に1/10っぽいですが、ホントに1/10だったりします。
というわけで答えだけなら一瞬で分かりますが、当然きちんと論証しないといけません。

今度は1の位が固定なので下から考えます。1の位が0で固定なのでこれはいいとして、10の位は0以外の9通り。100の位は10の位以外の9通り…
としていくとn桁目まで行けば9^(n-1)通りになりますが、最高位が0の場合も含まれてしまっています。
この場合は1桁少なくなりますから、つまりn-1桁のものとn桁のものを両方数えてしまったことになります。このことから

b_(n-1)+b_n=9^(n-1)

という漸化式が立ちます。
0が連続しないように数えたため、n-2桁以下のものは含まれておらず、また原理上n桁とn-1桁のものは過不足なく網羅的に数え上げたことも把握しておきましょう。

この漸化式を解くためには、指数のnが邪魔なので両辺を9^(n-1)で割って消してしまいます。


というわけで当初の予想通り、極限値は1/10でした。
これ答案結構飛躍が多いので実際に皆さんが書く際にはもうちょい丁寧に書きましょうw
見えない最高位の0を見ることがこの問題を解くうえでのポイントです。

なお、検算としてb_nにn=2,3あたりを代入してホントに整数値になるかの確認くらいはしておきましょう。

第2問

やはりこちらが勝負になってきます。
文章だけだとよくわからないのでひとまず図を描いてみましょう。

正方形ABCDがどのように置かれているかは問題文に明示されていませんが、Pも自由に動き回るのでどちらかは自分が考えやすいように固定して置いても一般性を失わない、というテクニックがあります。

というわけで正方形ABCDはまっすぐ置いて、Pを動かしてみましょう。

嫌すぎ。

もう見ただけで処理が大変でやってられないです。角度が2個もあるとだいたいめんどくさいです。たぶん対称性からαは0°~45°の範囲で考えてやればよさそうな気がしますが、それでもそもそも半直線の方程式を立てる時点で私なんかは頭がパンクしてしまいます。

というわけで発想を変えます。どうしても無理ならヤバそうな計算を敢行するしかありません。

今回はPを動かしたため座標が(2cosα、2sinα)とかいうのになって非常に考えづらくなったのでした。ということはP(2,0)に固定して正方形ABCDのほうを動かしてやればいいのでは? ということになります。

問題文に正方形ABCDは固定で点Pが動くと書いてあるような気がしますが、それに律儀に従う必要はありません。物理だって相対速度とかなんとか言って、動いてる方を基準にとって動いてないほうの見た目速度は?とか言ったりするんですから、数学も同じようにしちゃえばいいんです。

というわけで正方形ABCDを動かしましょう。

図が下手すぎて全然正方形じゃないのは目を瞑ってもらうとして、さっきよりは相当分かりやすそうじゃないですか。正方形の4つの座標が分かりづらいことこの上ないですが、Pが動く場合よりは概要を掴みやすそうです。これで行きましょう。

そうは言ってもここからどう処理するべきかは悩ましいところ。せめて求めるべき最大値θに見当がつけば方針が立ちそうですが…

というわけで色々実験してみる。

まっすぐ。θ=45度。

tanθ=1/√2? 具体的に求まらなさそう。

…とこんな感じでしばらく正方形をぐるぐるしているとある特徴的な瞬間があることに気付きます。



これだ!

正方形の1辺の延長戦がPを通る場合。何が凄いってここから正方形を少しでも傾けるとこの半直線が正方形の内部に入るということが直感的に分かるということです。これは最大値やろなぁ。

…って「正方形を傾けると半直線が内部に入る」なんてふんわりした記述で許されるわけないっていうね。この事実に確固たる根拠を提示してやらねばなりません。

とりあえずこのθを具体的に求めますかね。これはOから辺ADに垂線OHを下ろしてやれば、OH=1、OP=2が明らかですから、おなじみ1:2の直角三角形ということでθ=30°です。

で、正方形を頭の中でぐるぐるするわけですがどうにもよくわからない。中心固定だから正方形の動く範囲は外接円になりますが別にだからなんだっていうね。

とここで凄いことに気付く。
ん? 外接円だけじゃなくて内接円も固定じゃねこれ? 当然内接円ってのは正方形ABCDの内部にありますから、内接円の接線は正方形ABCDを通るのは自明みたいなものです。

すげえ! θ=30°なら内接円に接するから絶対内部通るじゃん。

もう東工大って時点で地道な計算が避けられないものだと思ってました。しかしこれはひらめき一発問題だったのです。僕はこういう問題は思いついたときに変な脳内物質が出て快感なのでとても大好きです。

というわけで正方形ABCDの内接円の接線を考えて、それが正方形ABCDを必ず通るということを書いてやればθ=30°という結論が確固たる根拠付きで出せます。おもしろかったです。


以上。今回は20分くらいで終われました。この年は見えないものを見る視点が重視されていたのかもしれません。

なお、見えない三角形の内接円・外接円を活用する問題は他にもあります。有名なのは京大後期2006のコレ

(解答)
三角形ABCの辺の中点を結んだ三角形DEFを作ると、三角形DEFの外接円の半径は1/2 (相似比が2:1なので) である。
当然この円は三角形ABCの3辺と交わっているため、内接円以上にはデカいので1/2≧r


見えないものが見えるようになれば大変な問題をどんどん瞬殺することができるかもしれません。