ぽぴれあの大学入試数学解説ブログ

2014年度東大数学113点のぽぴれあちゃんが受験数学を解いてイキるためのブログです

仕事の合間にTwitterで流れてきた東大文系数学を解く27歳異常独身男性

ある日会社でTwitterを眺めていたらこんな問題がTLに流れてきた。


2020年東大文系数学第2問らしい。
僕は高校生の頃、受験数学は人生を賭けた最高の対戦パズルゲームだと思ってた時期があったので結構高校数学の問題を解いてみるのが好きだったりする。仕事がダルかったところにこれを見かけて、ちょっと面白そうだったのでやってみた。

まず問題文を眺めた感想は(2)より(1)のほうが難しくない?ってことだが、まあとりあえず(1)から解いてみた。

(1)
まずこの問題は、4×4のマスに将棋の飛車みたいなのを5個置いて、飛車の利きが4×4のマスを全て縦横埋め尽くすかどうかみたいな話をしているらしい。
で、(1)は飛車が存在しないラインが2本ある、と。
このラインが縦縦 (横横) だと、4×2の領域が残って、縦横だと3×3の領域が残るので場合分けが発生するわけだ。

まず縦縦 (横横) の場合を考えてみよう。

赤矢印が飛車が存在しないライン。
必然、青く塗りつぶした4×2のところに飛車が5個置かれる。
ただし飛車が存在しないラインはこれ以上あってはならないため、ABCD列すべてに飛車が最低1個置かれなければならない。
ということは必然的に(2,1,1,1)という感じで置くことになる。2個置かれる列がABCDどれになるかで4通り、そして1個だけ置く列について行1と行2どちらで置くかの2通りの世界線がそれぞれ分岐するため、置き方は全部で4×2の3乗=32通りとなる。

そして赤矢印の取り方だ。これは4つの行から2つ選ぶから4C2=6通り。ただし横横だけじゃなくて縦縦もあるので2倍して12通り

飛車が存在しない2本のラインが平行である場合は、32×12=384通り世界線が発生することがわかった。

問題はラインが縦横の場合だ。


見ての通り、3×3の領域に飛車が5個置かれる。
ただ、今回は先ほどと違い飛車が存在しないラインを発生させないという条件の整理が難しく、どうやら一筋縄ではいかない。さっきは2個置かれる列の存在が勝手に1,2行を制圧することを保証したから簡単に考えられたのだ。

3分ほど悩み、ここで余事象の利用に気付く。余事象というのは「全体から条件を満たさない世界線の数を全て引くと、条件を満たす世界線の数が求められますよ」という便利な原理だ。つまり、この9マスの領域に飛車を5個置くすべての場合 (9C5=126通り) から、3本目のラインが存在する場合を引けば求めたい2本のラインのみ存在する場合の数が求められる。

それでは3本目のラインを引いてみよう。対称性よりどこに引いても同じなのでとりあえず適当に…

ものすごく簡単になった。
6マスに5個置くんだから6通りに決まっている。そして4本目のラインは存在し得ないことも分かるかと思う。
この3本目のラインの引き方は6通りあるため、6×6=36通りが、3本目のラインが存在する置き方であるということがわかる。
ということは2本しかラインがない (3本目が存在しない) 場合は、全体の126通りから36通りを引いて90通りとなる。

あとはこの縦横に引いた2本のラインの置き方だ。これは4行4列それぞれに1本ずつ引くので4×4=16通り。90通りと掛け合わせて世界線1440通りに分岐する。


というわけで求める答えは 384+1440 = 1824通り であることが分かった。

(2)
今度は飛車が存在しないラインが0本という場合だ。
(1)の前半で考えたように、すべての列に飛車が1個は置かれなければならないから(2,1,1,1)と置かれるというのはすぐにわかる。また、2個置く列がどこになるかで最終的に答えが4倍されるというのも賢明な読者の皆様ならすぐに気付くかと思われる。

ではとりあえず1列に飛車を2個置いてみよう。

賢明なる読者の皆様はもうお気づきだろうが、行3,4それぞれに少なくとも1つ飛車が置かれている必要がある。しかし置くべき飛車は残り3つなので、ここで行3,4に1つずつ、行1or2に残り1つの飛車を置く場合と、行3,4に3つとも飛車を置く場合の場合分けが生じる。なぜここに場合分けが生じるんだ! 俺分からないぞ!という方は無理せず数え上げましょう。どうせ20通りもないです。何通りくらいありそうかは感覚なのでそこは問題数の経験を積んでいこう。

一応説明しておくと

このパターンはBCD列をそれぞれ入れ替えることで6通りの世界線が生じるけど


これはBとDが被ってるので入れ替えには3通りの世界線しか発生しないから。

前者は6通りの世界線に加えて、さらに青斜線に入らない飛車が列1なのか列2なのかでも世界が分岐するから2倍して12通り。
後者も3通りの世界線に加えて、飛車が2つ入っている列が列3か列4かで世界分岐するから2倍して6通り。
足して18通りとなる。

ここまでできたら最初の2個の飛車の並べ方だ。まずABCDどこに入るかで4倍、1234のどこに入るかで4C2=6倍なので合計24倍。
というわけで18×24= 432通り が答えとなる。


……



Twitterに書いた思考の流れを詳細に書くとこれまでのようになる。ここまで書くと簡単なように思えるけど、実際は僕が慣れてるだけでたぶんこの問題は難しいと思う。
場合の数や確率の問題で大事なのは状況としてはほとんど同じだけど、決して交じり合うことない平行世界を見つけることの1点に尽きると思っている。

例えば

この2つはちょっと矢印の位置が違うだけで、よく似た世界なので同じ議論ができるけど、決して交わることがない違う世界だということが分かることが大事だ。だから最後に平行世界の数を掛けるのだ。下の図は領域がちょっと離れているだけで3×3の領域なことに変わりはない。ビアンカと結婚してもフローラと結婚しても子供の性能は同じなので同じように使えるが、髪の色は違うのでゲームプレイとして異なるものになるのと大体同じと考えればあながち間違いではない。ただしSFC版でビアンカと結婚することとPS2版でビアンカと結婚することを同じに考えてはいけない。何故ならそもそものゲームシステムが違っているからだ。何が同じで何が違うかの判断は経験を積みましょう。


おわり。