東大後期ばっかりやってると疲れるので、大得意な1A2Bに集中するのと、軽めのものがやりたくなったので一橋大学 (文系の大学) の数学をやっていくことにします。
とはいっても、理系である僕が文系の問題を解けるのは当たり前であるため、本当に軽めに。
第1問
整数問題。
文字が多くてややこしいですが、よく見てみればΣkとΣk^2が合わさっているだけなので計算しようと思えばすぐにできます。
それはいつでもできるので、何らかの特殊性が見つからないかちょっと書き出してみましょうか。
ふむ。
m=1,2,3… を具体的に見ていこう。
んー、よくわからんな。
じゃあ素直に計算しましょうかね。
さて、整数問題を解く際の鉄則はとにもかくにも「候補を絞る」ということです。たとえ100個だろうが有限個に限定してしまえばあとはしらみつぶしてしまえばどうにかなります。
その絞り込む手段として代表的なのは約数・倍数の利用。例えば2024=abの形で表すことができれば、aやbの候補が2024の約数に絞られます。
そういったことを考えつつ式を観察すると、なんとm(m+1)という共通因数があるではありませんか。ということは
このようにまとめることができます。
分数が含まれているとややこしいため、両辺に6を掛けて整数にしましょう。
よし。
m(m+1)と連続2整数の因数があるため、かなり候補が絞られそうです。2024×6を素因数分解して
この通り。253は素数じゃありません。
連続2整数の候補としては(1,2)と(2,3)と(3,4)と(11,12)と(22,23)と(23,24)ですか。(1,2)を忘れないように注意。
候補が6個に絞れたのであとは全部調べるだけです。
m=1 n=2026
m=2 n=678
m=3 n=342
m=11 n=46
m=22 n=38
m=23 nは正の整数ではない
というわけで、答えは (1,2026) , (2,678) , (3,342) , (11,46) , (22,38) の5組です。
第2問
微分の問題。
まず条件を数式化しましょう。まず2つの放物線が共有点を持つと言っているのですから連立してできた式2x^2-ax-b=0が2解を持てばよい。判別式D=a^2+8b≧0つまりb≧-a^2/8が条件。
続いて接線が直交するという条件。接していなければ共有点は2個あるのですが、2個ともで接線が直交しているのか片方だけ直交していればいいのかというのは (数学の) 日本語読解能力が試されるところです。今回は「ある」点における接線が直交がしているという書き方なので片方でよし。
その点のx座標をtとしたらまず交わっているわけだからt^2=-t^2+at+b。そしてそれぞれの微分係数 (=接線の傾き) 2tと-2t+aの積が-1であることが直交条件でつまり2t(a-2t)=-1
tについての等式が2つ出てきたので連立しましょうか。
2t^2-at-b=0
-4t^2+2at+1=0
連立させるとb=1/2とまさかの具体値が出てきます。ということは、b≧-a^2/8という条件は常に成り立つので実質消滅。
動く変数がaしか無くなったので、aの値によって面積が決まり、それの最小値を求めればよいということのようです。
とりあえず面積はこの手のやつのお約束通り共有点のx座標をα、βとおくと、1/6公式使えば一瞬で、(β-α)^3/3です。α、βのうちのいずれかは先ほど出てきたtと一致します。
解と係数の関係からα+β=a/2、αβ=-1/4となるので、β-α=√(a^2/4+1)となり、a=0のとき面積の最小値は1/3です。ホントにそんな簡単に求まっていいのかなと思ってa=0のときの状況を一応調べると
y=x^2とy=-x^2+1/2
交点はx=±1/2で、微分係数はそれぞれ±1になるので確かに直交している。
OKっぽい。というわけで最小値は1/3。
第3問
多項式の割り算の問題 (個人的に苦手)。
f(x)は4次式で4次の多項式が1らしい。というわけで、(x+1)^2で割ると1余るという条件を利用して
こう書ける。
続いて(x-1)^2で割ると2余るということで、f(1)=2だから、代入して
4(a+b+1)+1=2
つまり、a+b=-3/4という条件が出ます。
あとは条件を素直に使っていくとこうなる。
f(x)を展開して、f(x)-2は(x-1)で括れる (f(1)=2となるようにbを決めたので当然) ので、因数分解。実際には(x-1)^2で割れるのでもう1度(x-1)で括れる、つまり因数として出てきた3次式部分もx=1代入したら0になるということ。
4a+9=0になるので、a=-9/4となります。
あとはf(x)の式に代入して
こうなります。
何も捻らずとも簡単に解ける問題でした。
第4問
空間図形の問題。
(1)
ひし形とは全部の辺の長さが等しい四角形を指します。
今回A,B,C,Dがどの順に四角形を為すのかは書かれていないですが、
大雑把に図を描けばこれはABCDの順だろうというのは予想がつきます。証明は座標の対称性からよく見たらACとBDは原点で交わるのでこれ対角線だよねってことをいえばおk。辺が交わるわけないので。
というわけで、AB=BC=CD=DAを式にすると、同じ式が2個出てきたり√が邪魔なので2乗したりしますが結局
こうなる。
2次の項が消えて、a+b=1という条件が残ります。これが必要十分条件です。
(2)
空間の三角形の面積は
これで求めるというのは大常識。逆に言えば空間が題材で三角形 (&平行四辺形) の面積を求める問題が出たらラッキー。基本これしか使うものがないからです。
ひし形は対角線を引いたら合同な4つの三角形が出来るので、そのうちの1つ△OABの面積が最小であるときひし形の面積も最小になります。何故こうするのかと原点をベクトルの始点にしたほうが考えやすいという発想の元です。
というわけで△OABの面積を求めます。
はい。
こんなもんf(x)f(1-x)の形で感覚的にはa=1/2の時が最小じゃね?って思うのですが、素直に展開して4次式を微分しましょう。
以下書くのが面倒なので略。答えは4倍して9/2。
第5問
確率の問題。
この手のやつはまず対称性により1頂点をあらかじめ決めておくものだと相場が決まっています。
というわけで1頂点を決めよう。
nが奇数なのは、偶数だと直径が辺として出てきてしまってややこしいからという大学側の配慮でしょう。
さて、1頂点を決めたとき、その頂点を通るように直径で円を2等分したら、もう2頂点が2分割されたエリアのうち片側のみで取られると、中心を内部に含まない三角形が出来るということが分かります。(n=3だとできないので以降n≧5で)
その選び方は(n-1)/2_C_2通り。そして、驚くべきことに中心を通らない三角形はすべてこれらの三角形を回転してズラしたものだったりする。回転とはどういうことかというと
1頂点ずつズラして黄緑→紫みたいな感じで作っていくと、n角形ならn個の合同な三角形ができる。これらはもちろん中心を内部に含まないため条件を満たさない。
正三角形が出てきてしまうと重なるとかの話が出てきて面倒だが、幸いにして正三角形は中心を内部に含むため今回の場合とは関係ないです。
続いて中心を内部に含まない三角形はこれで過不足なく数え上げられていることの証明が必要。すなわち、中心を内部に含まない三角形について、ある頂点から伸びた直径に対して残り2頂点が同じ側にあることがいえればいいのですが、それは中心を内部に含まないということから割と自明なのであまり真剣に触れなくてもいい気がする。
というわけで、条件を満たさない三角形が(n-1)/2_C_2×n個あり、全体はn_C_3個なので、全体から引いたn_C_3-(n-1)/2_C_2×n個、整理するとn(n-1)(n+1)/24個の三角形が条件を満たすことになります。
確率なので、分母にn_C_3を敷いて、(n+1)/(4(n-2))。
途中こっそりn≧5にしたので、あとはn=3のときに確率1で成立していることを確認して、これが答えとなります。
以上。難易度は3,2,4,1,5の順かな。